2015.08.11

法的三段論法で考える

先日、懇意にしている税理士と話していて、
税務における「法的三段論法」の話になりました。

そもそも三段論法とは、

①大前提:全ての人間は死すべきものである。
②小前提:ソクラテスは人間である。
③結論 : ゆえにソクラテスは死すべきものである。

という論理的推論の型式のひとつです。

難しい話はさておき、この考え方は
常に税務調査で採用しなければなりません。

私のところに来る税務調査の相談は、
メールを合わせると年間に数百件になりますが、
どこに問題があるのか税理士自身がわかっていない
ことの方が圧倒的に多いのです。
論点がわからなければ、問題解決などしようがありません。

たとえば、個人の医者に税務調査が入り、
調査官から接待交際費の全額を否認指摘受けました。
調査官はこう言ったのです。

「医者は接待される方でしょ?
患者を接待して来院してもらうってあり得ないですよね?
だから医者に接待交際費なんていう概念はないんです!」

では、こういうのはどうでしょうか。

同じく医者に税務調査が入りました。
調査官から接待交際費の全額を否認指摘受けました。
調査官はこう言ったのです。

「接待交際費というのは、事業に直接関連するもので
なければ必要経費として認められません。
売上に直接結びつきませんから必要経費を否認します」

この否認指摘に対する論点は何かわかるでしょうか?

前者の例は、そもそも「法律(所得税法)において
必要経費って何なの?」というのが論点です。

ですから反論するには、「いえいえ、医者だから
接待交際費は認められないという法律はありませんよね」
というのが正しい主張・反論です。

後者の例は違います。この場合、法律の要件は
合っていますから、「本当に事業に関連がない
接待交際費なのか?」という事実認定が論点です。

ということで、税務調査に置きなおして考えると、

①事実認定
②税法解釈
③当てはめ

の順番になるわけです。ということは、税務調査で
問題になっていることは3パターンに分けることができます。

①事実認定の問題:誰を接待した支出なのか?
               本当に事業に関連しているのか?

②税法解釈の問題:事業に直接関連する支出でなければ
               本当に必要経費にならないのか?

③当てはめの問題:医者が接待交際費を支出して
              必要経費になることはありえないのか?

否認指摘の内容を、3つのどこかに分類してください。
そうすれば、何が論点なのかが明確になります。

こうしてみると、論点が明確にならないこともあります。
それは、調査官に否認指摘の法的根拠を
聞いていないような場合です。

分類しようとすれば、何が足りないのかがわかります。
ぜひ、税務調査に「法的三段論法」を取り入れてください。

 

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

2013年5月の当時の記事であり、以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

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