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2017.02.28

サブリースの料率の限界点は?

※2016年8月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

 

日本中央税理士法人の見田村元宣です。

今回は「サブリースの料率の限界点は?」ですが、

裁決等ではなく、「実際の税賠事例」を取り上げます。

まずは、「税理士職業賠償責任保険事故事例」(2013年版)から

一部を抜粋します。

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・所得税につき、個人所有の賃貸建物を同族会社にサブリースしたところ、

同族会社が受け取る管理料相当額が「著しく高額」として同族会社の

行為計算の否認により更正処分を受けた。

・これにより更正による追徴税額につき、損害が発生し、

損害賠償請求を受けた。

・依頼者は、個人所有の賃貸建物を同族会社にサブリースする場合、

その賃料について税理士に相談したところ、税理士から「同族会社に

支払える不動産管理手数料は20%が税務上の限界」とのアドバイスを

受け、これに基づいて賃料を決め申告を行った。

・しかし、その後の税務調査で同族会社が受け取る管理料相当額が

「著しく高額」として同族会社の行為計算の否認により更正処分を受けた。

・本件は、結果として更正処分を認めており、追徴税額は「本来納付

すべき税額」となるため、保険金支払いの対象外であると判断された。※

※見田村注:多くの方が誤解されていますが、税理士職業賠償責任保険が

下りるのは、過大納付となっているが、その還付が不可能である場合のみです。

追徴税額が発生する場合は「対象外」です。
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この税理士の「不動産管理手数料は20%が税務上の限界」という

アドバイスがおかしいとは「全く」思いません。

国税の「著しく高額」という主張についても、「著しく」とは思いません。

20%の料率でも実際に否認されていない事例は多々あるでしょう。

しかし、この事例から言えることは下記です。

○20%は国税が更正できる料率である。

○顧問先に説明する際、20%はリスクがある料率である旨を

 伝えておくことが必要。

○「20%くらいなら大丈夫でしょう」と答えた場合、上記の税理士と

 同様の状況に陥る可能性がある。

もちろん、審査請求等に至った場合は違った結果になるかもしれません。

しかし、この事例のように納税者が更正処分を認めてしまっては、

税理士としては何ともできないのです。

今、福岡の税理士法人がDESに関して3億円超の損害賠償請求を受け、

東京高裁で争っていますが、これも「リスクの説明責任」が

大きな問題となっています。

だから、 皆さんは

「1%でも否認リスクがある場合、否認の『可能性』を伝えておくこと」

が重要なのです。

しかし、多くの場合、【個人的な感覚】をベースに

「それくらいなら大丈夫でしょう」と答えていることも多いでしょう。

それは大変、怖いことなのです・・・。

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