• HOME
  •  › ブログ
  •  › 不動産管理会社の手数料は20%でも【本当に】否認されないのか?
2018.07.03

不動産管理会社の手数料は20%でも【本当に】否認されないのか?

※2017年12月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

日本中央税理士法人の見田村元宣です。

今回は

「不動産管理会社の手数料は20%でも【本当に】否認されないのか?」

ですが、3つの事例を取り上げます。

(1)裁決等ではなく、20%について更正された税賠事例

「税理士職業賠償責任保険事故事例」(2013年版)から一部を抜粋

所得税につき、個人所有の賃貸建物を同族会社にサブリースしたところ、

同族会社が受け取る管理料相当額が「著しく高額」として

同族会社の行為計算の否認により更正処分を受けた。

これにより更正による追徴税額につき、損害が発生し、

損害賠償請求を受けた。

依頼者は、個人所有の賃貸建物を同族会社にサブリースする場合、

その賃料について税理士に相談したところ、

税理士から「同族会社に支払える不動産管理手数料は20%が税務上の限界」

とのアドバイスを受け、これに基づいて賃料を決め申告を行った。

しかし、その後の税務調査で同族会社が受け取る管理料相当額が

「著しく高額」として同族会社の行為計算の否認により更正処分を受けた。

本件は、結果として更正処分を認めており、

追徴税額は「本来納付すべき税額」となるため、

保険金支払いの対象外であると判断された。

(2)裁決(平成13年9月25日)

〇 請求人の主張の一部

平成7年4月17日の週刊税務通信2374号

によれば、適正不動産管理料割合は20パーセントが目安と書かれて

いることにかんがみ、別表3の「請求人主張額」欄のとおり、

本件管理料のうち■■が集金した賃料等の20パーセント相当額が

必要経費に算入されるべきである。

〇 審判所の判断

原処分庁が、本件管理契約書の効力が継続しておらず、

それに基づく管理業務も行われていないと認定して、本件管理料の

すべてについて経費性を否定したことは、課税要件事実の認定を

誤ったものであり、本件更正処分は違法である。

したがって、請求人の主張どおり、賃料の集金額の20パーセント相当額を

必要経費と認め、本件更正処分のうちこれを超える部分を取り消すのが

相当である。

(3)東京高裁(平成13年9月10日判決)

控訴人らは、仮に管理料割合を用いてその適正賃料を算定するとしても、

適正管理料割合は20パーセントを目安とすべきである旨主張し、

これを裏付けるものとして甲二(週刊税務通信の記事※)、

甲八(税理士Eの陳述書)を提出する。

しかしながら、甲二は、雑誌社の担当者が実務の傾向を推測して作成した

記事にすぎず、しかも、20パーセント以内であればフリーパスということ

ではなく、基本的には個々の建物の規模、地域性、管理業務の内容等に

則して判断される旨付記しているのであって、この記事をもって

適正管理料割合を20パーセントとすべきであるといえないことは

明らかである。

また、甲八によれば、D調査官は、当初、管理料割合を20パーセント

として賃料収入を計算し、修正申告をするように指導したというのであるが、

仮にそのような事実があったとしても、それは、税務の簡易迅速な処理

のため、詳細な調査を行う前の段階で示した修正申告案とみるべき

であって、これをもって、課税処分を行う場合の基準とすべきである

ということもできない。

さらに、甲八添付の資料3及び4に記載された各建物と本件建物との間には、

所在地の近接性、立地条件の近似性、テナントの種別や管理業務の内容等の

共通性が認められず、上記資料3及び4記載の例は本件における

適正管理料の割合を20パーセントとすべきとする根拠にはならない

というべきである。

※ 平成7年4月17日(2374号)

いかがでしょうか?

一般的には「20%までは否認されない」という話もありますが、

これらの事例を見ると、「20%は絶対的安全圏ではない」ことが

分かります。

(1)の税賠事例のようにならないためにも、

不動産オーナーに対する提案は慎重に行なう必要があるのです。

また、20%で設定したとしても、

その課税リスクの説明は「適正に」行なっておくべきなのです。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

毎週水曜日に配信する『税務調査対策のメールマガジン』では、最新の税務調査事情はもちろんのこと、調査官の心理、税務署のウラ側など元国税調査官だからこそ語れるマニアックなテーマまでをお届けします。
「こんなことまで話して本当に大丈夫ですか?」 と多くの反響を頂く税理士業界では話題のメルマガです。
お名前とメールアドレスを登録するだけで 毎週【 無料 】でメルマガを配信いたします。