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2016.12.02

事前に修正申告を提出して7年遡及と言われたら・・・

※2016年3月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

 

株式会社InspireConsultingの久保憂希也です。

本メルマガをずっとお読みの方であれば、
税務調査の事前通知があった後であっても、
誤り等が見つかれば、調査初日までに修正申告を
提出することで傷を浅くする選択をするはずです。

さて、実際にこのような対応をしたところ、
税務調査で「7年遡及」と言われて困った事案が
実際に2つありましたので、紹介します。
(両事案に共通する内容に絞って解説をします)

【前提】

・事前通知があり、顧問先と打合せをしたところ、
多額の誤り・脱漏があったことが把握された

・調査初日までに修正申告を提出

・税務調査において、修正申告の内容について
いくつかの誤りが発見されたが、どれも
脱税に該当する項目はなかった(軽微な誤りアリ)

・当初は調査対象年分が3年or5年であったが、
調査官は「7年分を対象とする(延伸する)」と主張

・その根拠は「修正申告における増差所得が多額で、
当初申告において故意に売上等を脱漏していた
(脱税していた)と考えられるから」と調査官は主張

さて、上記調査官の主張は通るのでしょうか?
納税者側として、どのように反論すべきでしょうか?

まず、調査対象期間が延びるのには法的要件があります。

国税通則法第74条の9第4項
第1項の規定は、当該職員が、当該調査により
当該調査に係る同項第3号から第6号までに掲げる事項
以外の事項について非違が疑われることとなつた場合に
おいて、当該事項に関し質問検査等を行うことを妨げる
ものではない。この場合において、同項の規定は、
当該事項に関する質問検査等については、適用しない。

ですから、調査対象年分が延びるには、
対象年分を調査した結果として、それ以前の期に
「非違が疑われることとなつた場合」である
ケースに限られることになり、逆に言うとこの要件に
該当しない場合、調査対象年分が延びることはありません。

この点で、上記事案における調査官の主張根拠は
間違っていて、修正申告した経緯や増差所得・税額は、
調査対象年分にまったく関係ないのです。

そして、次に考えなければならないのは、
上記調査事案のように、事前に修正申告していた場合、
どの申告が調査対象かということです。

A:当初申告
B:調査着手前の修正申告

とすると、調査対象はBであってAではありません。

当たり前ですが、調査が始まる前に提出された
修正申告や更正の請求がある場合、その修正申告
および更正の請求が調査の対象となるのであって、
もはやこの段階で当初申告は関係ないことになります。

この点は、事前通知があってから提出したケースで
考えるからわかりにくいだけで、事前通知がない
ケースで考えれば、誰でもわかることかと思います。

以上からご理解いただける通り、たとえ
当初申告で脱税していたとしても、調査前に
きちんと修正申告を提出している以上は、
「その修正申告内容において」脱税していない限り、
7年遡及にはなり得ない、ということです。

事前通知後・調査着手前に修正申告した場合、
調査官は何が何でも課税しようと、感情的になり
論理を飛ばしてくる傾向があります。

ぜひ、注意してください。

 

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一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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