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2018.09.11

対面でない場合も税務調査と言えるのか?

※2018年1月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社InspireConsultingの久保憂希也です。

「対面ではなく、例えば電話でのやり取りや、
書面のみでも税務調査と言えるのでしょうか?」

よくある質問なのですが、答えは「はい」です。

税務調査は対面のみで行われるわけではありませんので、
電話のみでも書面のみでも有効となります。

一般的にいう「税務調査」は、国税通則法では
「調査」と規定されており、その調査の範囲は
通達に定められています。

国税通則法第7章の2(国税の調査)関係通達の制定について
(法令解釈通達)1-1(「調査」の意義)
(1)法第7章の2において、「調査」とは、国税に関する
法律の規定に基づき、特定の納税義務者の課税標準等又は
税額等を認定する目的その他国税に関する法律に基づく
処分を行う目的で当該職員が行う一連の行為(証拠資料の
収集、要件事実の認定、法令の解釈適用など)をいう。

一般的に認識されているよりも、(税務)調査の範囲は
広く、「一連の行為」すべてを指します。

また、(税務)調査は対面で行われなければならない、
という法律・通達規定はありませんので、
電話だけでも書面だけでも有効となり得ます。

例えば、税務署から書面が送られてきたケースで
考えてみると(反面調査を含む)、
その書面の記載に「国税通則法第74条の2に基づき」
などあれば、それは質問検査権の行使に該当しますので
税務調査の一環と判断することができます。

実際に「書面のみの調査」というのはあって、
管轄の税務署が遠隔で、特に反面調査の場合などに
税務署が書面のみを送付して、その回答を待つ、
ということがあります(回答のみならず、
資料の提出依頼などもあります)。

書面と同じで、電話のみというケースもあります。
これも反面調査で考えればわかりやすいのですが、
遠隔地の場合は、電話での質問検査権の行使も、
法律的には調査に含まれることになります。

一方で、税務署からの書面・電話であっても、
(税務)調査ではないとするならば、
「行政指導」に該当することになります。

「お尋ね」は質問検査権の行使ではありませんので、
行政指導に該当しますし、電話で申告内容を
聞かれて、それに回答する行為も、
一般的には行政指導が多いと思います。

下記の国税庁サイトもあります。

「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)」
https://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h24/nozeikankyo/ippan02.htm#a02

問2 税務署の担当者から電話で申告書の内容に
問題がないか確認して、必要ならば
修正申告書を提出するよう連絡を受けましたが、
これは調査なのでしょうか。
(回答)
調査は、特定の納税者の方の課税標準等又は税額等を
認定する目的で、質問検査等を行い申告内容を
確認するものですが、税務当局では、
税務調査のほかに、行政指導の一環として、
例えば、提出された申告書に計算誤り、転記誤り、
記載漏れ及び法令の適用誤り等の誤りがあるのでは
ないかと思われる場合に、納税者の方に対して
自発的な見直しを要請した上で、必要に応じて
修正申告書の自発的な提出を要請する場合があります。
このような行政指導に基づき、納税者の方が
自主的に修正申告書を提出された場合には、
延滞税は納付していただく場合がありますが、
過少申告加算税は賦課されません
(当初申告が期限後申告の場合は、
無申告加算税が原則5%賦課されます。)。
なお、税務署の担当者は、納税者の方に調査又は
行政指導を行う際には、具体的な手続に入る前に、
いずれに当たるのかを納税者の方に
明示することとしています。

「書面だから」「口頭だから」調査ではない、
とか調査手続きに不備がある・違法だ、
という判断にはなりませんので注意してください。

なお、「調査」と似て非なるものに、
「実地の調査」があります。

これは、臨場する(対面)調査なのですが、
これについては来週のメルマガで解説します。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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