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2015.06.23

書面添付の事務運営指針改正

税務調査の大きなトレンドとして、

税務調査手続きの厳格化
⇒調査官の事務量の増加
⇒税務調査件数の減少
⇒(それでも)実調率は確保(したい)
⇒書面添付の推進

が容易に想定できます。つまり、今年から手続きだけではなく
税務調査のトレンドも大きく変わろうとしているのです。
私が「書面添付を始めるなら今」と言っているのも
こういう背景があるからなのです。

昨年末、書面添付に関する事務運営指針が改正されました。
改正後の各事務運営指針は、一覧からご覧ください。

http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/jimu-unei/jimu.htm

ここでは新旧対照表で改正内容を解説しましょう。

「法人課税部門における書面添付制度の運用に当たっての基本的な考え方
及び事務手続等について」の一部改正について(事務運営指針)
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/jimu-unei/hojin/kaisei/121219_2/01.htm

「個人課税部門における書面添付制度の運用に当たっての基本的な考え方
及び事務手続等について」の一部改正について(事務運営指針)
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/jimu-unei/shotoku/shinkoku/kaisei/121219/index.htm

「資産税事務における書面添付制度の運用に当たっての基本的な考え方
及び事務手続等について」の一部改正について(事務運営指針)
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/jimu-unei/sozoku/kaisei/121219_1/01.htm

文章が大きく変わったのは「加算税」部分です。
下記文章が削除さました。

6 意見聴取後に提出された修正申告書に係る加算税の取扱い
意見聴取を行い、その後に修正申告書が提出されたとしても、
原則として、加算税は賦課しない。ただし、意見聴取を行った後に
修正申告書が提出された場合の加算税の適用に当たっては、
国税通則法第65条第5項並びに平成12年7月3日付課法2-9ほか
3課共同「法人税の過少申告加算税及び無申告加算税の取扱いについて」
(事務運営指針)及び平成12年7月3日付課消 2-17ほか5課共同
「消費税及び地方消費税の更正等及び加算税の取扱いについて」(事務運営指針)
及び平成13年3月29日付課消4-11ほか1課共同「たばこ税等及び酒税の
加算税の取扱いについて」(事務運営指針)に基づき非違事項の指摘を行ったか
どうかの具体的な事実認定により「更正の予知」の有無を判断することになるから、
修正申告書が意見聴取の際の個別・具体的な非違事項の指摘に基づくものであり、
「更正の予知」があったと認められる場合には、加算税を賦課することに留意する。

私がメルマガやセミナーなどで、
「意見聴取の結果、たとえ誤りが見つかって
修正申告になったとしても、加算税が課されないので
絶対に得なんですよ」と伝えてきました。

しかし、上記(削除された文章)を読むと、
「あれっ?加算税が課される場合もあるようにも解釈できる」
と反論されることがありました。

これは法的に考えてみると、あり得えないのです。
なぜなら、意見聴取とは「税理士法で定める行為」であって、
税務調査でないことは明らかだからです。
(実際に意見聴取で納税者が同席することはできません)

この点について、新事務運営指針では
「3 意見聴取の内容」の部分で、修正申告の提出について
下記のように記載されることになりました。

「なお、意見聴取における質疑等は、調査を行うかどうかを
判断する前に行うものであり、特定の納税義務者の課税標準等
又は税額等を認定する目的で行う行為に至らないものであることから、
意見聴取における質疑等のみに基因して修正申告書が
提出されたとしても、当該修正申告書の提出は更正があるべきことを
予知してされたものには当たらないことに留意する。」

つまり、意見聴取の結果として修正申告書を提出しても
加算税が課されないことが明示されたのです。
(わかりくい文章の改訂です)

今後も書面添付に関して情報発信を継続していく
予定ですのでぜひ参考にしてください。

 

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2013年1月の当時の記事であり、以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

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