2016.10.14

直近の税務調査の傾向

※2015年11月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社InspireConsultingの久保憂希也です。

先月から今月にかけて、平成26事務年度
(平成26年7月~平成27年6月)の
税務調査に関する情報が国税庁より発表になりました。

https://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/press.htm

今回のメルマガではその中から、法人調査と相続調査の、
直近の傾向をお伝えしたいと思います。

「平成26事務年度 法人税等の調査事績の概要」
https://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2015/hojin_chosa/pdf/hojin_chosa.pdf

まず、法人税の調査件数ですが、平成26事務年度は
95千件と、昨年から5%ほど件数が増えています。

平成23年1月から施行された国税通則法の大改正によって、
調査件数は30%以上激減しましたが、直近になって
少しずつではありますが、調査件数は増えています。

ただ、改正前の調査件数には遠く及ばず、
今後も急増するということはないでしょう。

調査結果については、全調査のうち73.6%が
非違となっており、調査のうち4件に3件が
何らかの否認を受けています。この数字は
毎年ほぼ変わらずに推移しています。

「不正発見割合」(重加算税賦課率)は19.5%となっており、
相も変わらず、法人調査の5件に1件は重加算税が
課されているという、バカげた数字になっています。

過去数年、不正発見割合は下がり続けていましたが、
結局のところ20%前後に落ち着くのが現実なのでしょう。

私は個人的に、法人に対する重加算税賦課率は
5~10%あたりが適正数値だと考えており、
本来は重加算税を課されるべきではない事案が
まだまだ多いものと考えています。

直近の数字で顕著なのが、消費税還付申告法人に対する
消費税調査の件数が、昨対比で10%以上増えていることです。

税率が8%に上がり、不正還付が増えていることで、
今後さらに消費税還付に対しては厳しく調査されそうです。

国際税務(海外取引と源泉)に関する調査件数は
もっと増えるかと思っていましたが、
微増に留まっており、直近ではさほど変化なし。

公益法人に対する調査件数もほぼ変わりないのですが、
こちらは不正発見割合が3%と低いため、
今後も大きな変わりはないものと思います。

「平成26事務年度における相続税の調査の状況について」
https://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2015/sozoku_chosa/sozoku_chosa.pdf

相続税の調査件数は昨対比で4.2%増加。
今後は申告件数が増えるため、調査件数は
急増するものと予測はできます。

また、非違割合は80%超と、相変わらず
何らか否認される事案がほとんどとなっています。

重加算税賦課割合が1.6%上がっており(12.4%)、
今後はさらに重加算税事案が増えそうです。

また、各国税局でもこれらの数字等は
発表されていますので、管轄の国税局の
傾向も合わせて確認されることをおすすめします。

「各国税局発表分」
https://www.nta.go.jp/kohyo/press/list/index.htm

 

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一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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