2015.04.10

税務署の守秘義務

今回のブログは先日いただいた質問から、
「税務署の守秘義務」について書こうと思います。

税務署や調査官の守秘義務については、
どこまでなのか学ぶ機会がほとんどないことでしょう。
このブログで整理してみましょう。

調査官の守秘義務ですが2重の罰則規定があります。
まず、国家公務員法の規定です。

国家公務員法第100条(秘密を守る義務)
職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。
その職を退いた後といえども同様とする。

国家公務員法第109条(罰則)
次の各号のいずれかに該当する者は、
1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
十二  第100条第1項若しくは第2項又は
 第106条の12第1項の規定に違反して秘密を漏らした者

さらに守秘義務が国税通則法に定められています。

国税通則法第126条
国税に関する調査若しくは租税条約等の実施に伴う所得税法、
法人税法及び地方税法の特例等に関する法律の規定に基づいて
行う情報の提供のための調査に関する事務又は国税の徴収に
関する事務に従事している者又は従事していた者が、
これらの事務に関して知ることのできた秘密を漏らし、
又は盗用したときは、これを2年以下の懲役又は
100万円以下の罰金に処する。

では、税務署が他の公的機関(社会保険事務所や法務局等)
と情報交換を行うことは守秘義務違反ではないのでしょうか?

結論からいうと、税務署を含めた公的機関が、
お互いの情報を共有するのは違法行為にはあたりません。

これは個人情報保護法に規定されています。
まず、個人情報保護法の原則規定を確認しましょう。

個人情報保護法第16条
個人情報取扱事業者は、あらかじめ本人の同意を得ないで、
前条の規定により特定された利用目的の達成に
必要な範囲を超えて、個人情報を取り扱ってはならない。

個人情報保護法第23条
個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ
本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない。

この2条文から、個人情報は他者に漏らしてはならないのですが、
例外規定が存在しています。

個人情報保護法第16条第3項
前二項の規定は、次に掲げる場合については、適用しない。
一 法令に基づく場合

個人情報保護法第23条第1項
一 法令に基づく場合

というわけで、税務署が法人税や所得税などの税務調査において、
他の公的機関が保持する情報を入手したければ、
法令(各個別税法)において照会をかければ
手に入れることができるというわけです。

 

※2012年4月の当時の記事であり、以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

また、ブログの内容等に関する質問は一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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