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2018.07.05

税務調査でメールを見せる必要はあるのか?

※2017年12月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社InspireConsultingの久保憂希也です。

最近、質問・相談があった税務調査の事案で、

「メールを全部、一括ダウンロードして、
データで提出してください」と調査官に
言われたが、どのように断ればいいのか?

というものがありました。

前提となる事実は、下記のとおりです。

○特官部門の調査事案

○不動産(売買)会社

○売上の計上時期が不明確な物件が多数あった

調査官は、売上の計上時期を「故意に」
ズラして所得調整していると疑っている

○営業担当者のメールをすべて出し、売却先との
やり取りを開示するよう調査官が要請

○その後、売上の時期を故意にズラしていないか
を確認するため、経理担当者のメールも合わせて
すべてデータで出すように要請

この調査対象となった不動産売買会社は、
取引先との守秘義務契約があるから
(実際に契約書が存在する)という理由で
断ろうとしたようですが・・・

個別の取引先に関して、実際に守秘義務契約書等が
あっても、さすがに調査権限は及びます。

さて、2つの論点に分けて解説しましょう。

(1)全メールのデータ提出はマストか?

税務調査とはそもそも、「この売上は・・・?」
「この経費は・・・?」など特定の取引に関して
調査官が質問し、それに対して回答するなどの
受忍義務があるわけです。

「叩けば何かホコリが出るだろう」は
税務調査の範囲から逸脱しています。

国税通則法第74条の8(権限の解釈)
第74条の2から前条まで(当該職員の質問検査権等)
の規定による当該職員の権限は、犯罪捜査のために
認められたものと解してはならない。

上記事案のように、全メールというのは
さすがにムリがあり「取引を特定してください。
該当するメールを探して出します」と
主張することになります。

(2)データを出す必要性があるのか?

上記の調査事案では、全メールのデータを
求められていますが、税務調査の範囲から
データは外れています(電帳法対応を除く)。

詳しくは、私のコラムをご覧ください。

「パソコンを触らせなければならないのか」
https://www.tabisland.ne.jp/inquiry/column/column_07.htm

このように、メールの開示要請などは
根拠をもって適正に断ることができるので、
ぜひ注意してください。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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