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2017.02.16

税務調査で提示しなければならない資料はどこまでか?

※2016年8月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

 

株式会社InspireConsultingの久保憂希也です。

ここ数年は税務調査が前倒しで開始されていることから、
8月に入ったばかりですが、すでに税務調査の
繁忙期といえる状況になっているようです。

さて、税務調査において「何を見せなければならないか」、
逆にいえば「何を見せなくてもいいのか」、
判断に迷うケースがあります。

まず、過去のメルマガでも取り扱ってきましたが、
当然に「私物」などは見せる必要性はありません。

「税務調査手続に関するFAQ」(一般納税者向け)
http://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h24/nozeikankyo/ippan02.htm

問7 法人税の調査の過程で帳簿書類等の提示・提出を
求められることがありますが、対象となる帳簿書類等が
私物である場合には求めを断ることができますか。

【回答】
法令上、調査担当者は、調査について必要があるときは、
帳簿書類等の提示・提出を求め、これを検査することが
できるものとされています。この場合に、例えば、
法人税の調査において、その法人の代表者名義の個人預金について
事業関連性が疑われる場合にその通帳の提示・提出を求めることは、
法令上認められた質問検査等の範囲に含まれるものと考えられます。
調査担当者は、その帳簿書類等の提示・提出が必要とされる趣旨を
説明し、ご理解を得られるよう努めることとしていますので、
調査へのご協力をお願いします。

では、事業関連性がある物は「すべて」見せなければ
ならないのかというと、この点も非常に微妙です。

先日、実際にあった質問は下記のような事案です。

・小料理屋に調査が入った

・予約が入った場合は予約帳につけている

・売上帳は別途存在する

・進行年分の予約帳と売上帳を調査され、
差があることが判明した(売上計上漏れを指摘)

・過去分の予約帳の提示を求められている
⇒予約帳は質問検査権の範囲に該当するのか?

さて、前提として、税務調査では帳簿のみならず、
その取引を計上する原因となった原資資料の
提示もしなければなりません。

これは、請求書・領収書などの原資資料を保存し、
実際に調査で見せていることからも、
当然のこととして受け入れられていると思います。

その一方で、上記の「予約帳」なるものは、
あくまでも予約を管理しているだけの資料であり、
そのもの自体が正確に売上に反映されるのか
定かではない、という意味合いにおいて
質問検査権の対象になるのか微妙とも解釈できます。

予約の人数と実際の人数が違うことは
普通に起こり得ることでしょう。また、
予約されたコース(料金)と実際の注文が
相違することも容易に想定できます。

結局のところ、税務調査において「何を
見せなければならないのか」を考えると、
【売上・経費等の計上根拠になった資料全般】
と捉えることができます。

そういう点から考えると、上記の予約帳は
あくまでも「予約の管理のため」であり、
売上の計上根拠になるかはわかりません。
(なる店もならない店もあるのかもしれません)

結局のところ、調査官は「ある物をすべて見て、
差異がある箇所を否認指摘する」わけです。

こうなると、言われたものを全部見せれば
「実際には売上計上漏れなどなくても」
資料上は差異が出てしまうこともあるわけです。

この差異を明確に説明できる場合はいいのですが、
上記実例のように、明確な説明ができない
ケースもあるわけです。

こういう観点から考えると、調査官から
提示要請に対して無条件に応えていると、
痛い目をみる可能性があるというわけです。

提示する資料が本当に質問検査権の範囲内なのかを
都度確認する必要があるというわけです。

 

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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