2015.10.27

税務調査の最新情報

つい先日、国税庁から税務調査の最新情報が複数発表され、
ニュースなどでも目にした方が多いかと思います。

発表の一覧はこちらになります。

「平成25事務年度分(平成25年7月から平成26年6月)」
http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/press.htm

毎年、本ブログでも取り扱っている、
法人税の税務調査状況(公表数字)はこちらです。

「平成24事務年度 法人税等の調査事績の概要」
http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2013/hojin_chosa/pdf/hojin_chosa.pdf

※公表数字は、平成24事務年度ですから
 平成24年7月から今年6月までの数字になります。

ここで注目すべき事項をピックアップして解説しましょう。

①調査件数は激減

法人の税務調査件数は、前事務年度に比べて
「27.4%」も減少しました。

いろんな税理士さんと話していると、

「久保さんは税務調査減るってメルマガに書いてたけど
実際には減ってないんじゃないの!?」

と言われることも多いのですが、これが事実です。
来年はさらに件数が減るのではないかと考えています。

ちなみに、所得税の調査も激減していますから、
これは明らかに、税務調査の手続きが増えた(改正された)
ことに対する影響であることがわかります。

②不正発見割合も減少

税務調査を行った際に、重加算税を賦課した割合を
「不正発見割合」と呼んで公表されていますが、
この割合も「18.3%」(前年19.6%)と下がりました。

昨年が数字発表後、初めて20%割り込んだのですが、
予想通り、さらに割合が下がる結果となりました。

これについては今年から、重加算税の賦課についても
「理由の附記」が適用になったため、
国税側も慎重にならなざるを得ないことの結果でしょう。

なお、個人的にはこの割合でも高いと考えています。

重加算税でも理由の附記が必要になったということは、
重加算税の賦課根拠(隠ぺいまたは仮装)を明確に
しなければならないということですから、
税理士の対応でさらに割合は下がるものと思います。

また、上記①②に共通することで、
これらの公表数字には載ってこないのですが、
今年に入ってから「行政指導」が増えたものと考えます。

つまり、前事務年度までは税務調査に分類されていた
税務署と納税者の接触も、行政指導との区分が
なされたため、結果として税務調査が減ったということです。

行政指導ということになれば、

・税務調査(質問検査権の行使)ではない
・よって、加算税は課されない
・結果として、重加算税も課されない

となります。

これにより、税務調査の件数も減りますし、
重加算税の賦課率も下がるというわけです。

ここ数ヶ月、行政指導と税務調査の区分に関する質問
(対応方法の違いなど)が多いのですが、
税務署からの連絡(電話や郵便)の際に、
冒頭できちんと確認する必要がますます高まっています。

これ以上は解説しませんが、ぜひこれらの公表資料に
目を通していただきたいと思います。
今後の税務調査の展望が見えてきます。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

※2013年11月の当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

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