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2017.04.06

税理士が逮捕された!税理士の善管注意義務など

※2016年10月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

 

日本中央税理士法人の見田村元宣です。

今回は「税理士が逮捕された!税理士の善管注意義務など」ですが、

平成28年10月20日の産経ニュースを取り上げます。

まずは産経ニュースからの転載です。

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日本税理士会常務理事を逮捕 破産管財人に虚偽説明 警視庁

顧問先の会社社長の破産管財人に虚偽の説明をしたとして、警視庁捜査2課は

20日、破産法違反(虚偽説明)の疑いで、茨城県桜川市真壁町真壁の税理士、

中村一三(かつぞう)容疑者(70)を逮捕した。

捜査2課によると、容疑を否認している。

中村容疑者は日本税理士会連合会常務理事。

家電通販サイト「まいど」の運営会社「ディーケイシー」(DKC)の

元顧問税理士だった。

逮捕容疑は平成27年5月、DKC元社長の福本繁夫容疑者(53)=

同法違反(虚偽説明、詐欺破産)容疑で逮捕=が破産する直前の同年2月に

現金約1900万円を自身の口座から出金した理由について、破産管財人に

対し、「知人に返すため」と虚偽の説明をしたとしている。

捜査2課は、中村容疑者が福本容疑者の破産を見越し、虚偽説明用の書類の

作成などを福本容疑者らに指南したとみている。
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このレベルではないとしても、顧問先等を守ろうとする「軽い気持ち」から

税理士が不適切なことに手を貸してしまう可能性もあります。

その典型例が粉飾決算ではないでしょうか?

これに関し、税理士の善管注意義務違反が問われた事例があります。

東京地裁(平成25年1月22日)です。

http://www.e-hoki.com/tax/taxlaw/7663.html?hb=1

TAINSには登載がなかったので、TKCのデータベースを検索したところ、

この裁判に関し、下記の記載がありました。

〇会計顧問であることもって、原始資料に基づき仕訳伝票をチェックする

業務が委任業務に含まれていたということはできない。

〇会計帳簿の記帳代行業務が委任契約の委任業務に含まれていることをもって、

原始資料に基づき仕訳伝票をチェックする業務等が委任業務に含まれていた

ということはできない。

〇原始資料から仕訳を行う業務を委任業務に含める旨の合意が成立していたと

推認することはできない。

〇原始資料に基づき仕訳伝票をチェックする業務を委任業務に含める旨の

合意が成立していたと推認することはできない。

〇チェックリストの「預貯金」欄の「残高証明書又は預金通帳等により

残高を確認したか。」との部分に「YES」とチェックが付されていることを

もって、税理士が原始資料に基づいて残高確認をしていたと認めることは

できない。

〇税理士の善管注意義務には、個別の取引の実在性、個別の資産又は負債の

実在性等を原始資料に当たって精査すべき義務は含まれていなかった。

〇税理士が法人の経理担当者を通じて事実確認や意思確認を行ったことを

もって、委任契約上の義務違反に当たるということはできない。

この裁判は東京高裁で係争中と「T&Amaster」の記事では書かれていますが、

この判決を見つけることはできませんでした。

ただし、別の事例(東京高裁、平成28年9月14日)では、

部分的に税理士に対する賠償責任を認めています(2割)。

http://www.lotus21.co.jp/ta/1610ddld/664_40.pdf

「顧問先の粉飾をいちいち否定していたら仕事にならない」という意見も

聞かれますが、税理士という職業は1度の事故で過去の蓄積、実績が

一気に吹っ飛ぶ要素もあります。

私は顧問先さんには

「赤字なら赤字で仕方がないので、どう対策すべきかを考えましょう。」

と提案しています。

場合によっては、役員報酬を大幅に下げてもらっているケースもあります。

0円にしてもらったケースもあります。

いずれにせよ、不適切なことに関与するのではなく、

「顧問先の本当の将来」を考えて、正しいアドバイスをしていきましょう。

 

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