2015.02.16

説明なき重加算税の通知

今回のテーマは、『説明なき重加算税の通知』です。

先日の税務調査研究会において、参加されている
ある税理士からこのような話がありました。

「6月に税務調査が終わったので、修正申告を提出しました。
そうしたら…7月1日にいきなり、納税者のところに
重加算税の賦課決定の通知書が届いたんです!」

否認箇所には納得をされているそうなので、
修正申告自体は問題ないようなのですが、
重加算税になるとは一切事前に聞いていないとのこと。

詳しく話を聞いてみると、この税務調査は途中で税理士が代わっており、
代わる前の税理士が調査官と何を話されていたのかは不明とのことでした。

このような特殊事情があるにせよ、
これはあってはならない状況であることは確かです。

実はこのケースのように、事前に納税者・税理士には
何の相談等もなく、いきなり重加算税の通知が届くケースは、
ままあることのようで、私も数人の税理士から話を聞いたことがあります。

さて、「説明なき重加算税の通知」は
許されるべきことなのでしょうか?

毎年国税庁から発表されている資料の最新版
「国税庁レポート2010年度版」を見てみましょう。

※関連する部分のURLを貼りますが、
 できましたら全部読んでいただきたいものです

http://www.nta.go.jp/kohyo/katsudou/report/2010/02_3.htm#a02_3_s1

[参考] 税務調査について

(3) 調査終了後の対応

税務調査において申告内容に誤りが認められた場合、
納税者に申告の誤りの内容などについて説明することとしています。
申告内容の誤りを是正するための修正申告を勧める際には、
「修正申告等について」という書面を用いて、
修正申告等に係る異議申立てや審査請求ができないことや
延滞税及び加算税について説明をしています。
また、今後の申告や帳簿書類の記帳などに関して指導事項があるときは、
その内容についても説明を行い、税務調査を契機に納税者が税務知識を深め、
将来にわたって自主的に適正な申告と納税ができるよう努めています。
なお、納税者が修正申告などの勧めに応じない場合には、
税務署長が更正又は決定を行い、納税者のもとに
更正通知書や決定通知書を送付しています。

税務調査については、「これをもって税務調査は終わりですよ」
という定めが法律的にないため、実務上
納税者が不安定な状態に置かれることがあります。

これを回避するために、国税庁は数年前から
「修正申告等について」という書面を発行し、
加算税等の説明をすると発表しているわけです。

一番古い発表で、「国税庁レポート2005年度版」
でも同じ発表がされています。

http://www.nta.go.jp/kohyo/katsudou/report/2005/04_3co.htm

事前に重加算税の説明がないことについては、
それ自体は即違法性を帯びるわけではありませんが、
国税庁が公表している内容に背いた運用である以上、
調査官本人や統括官へのクレームを入れることは可能です。

また、最終的に納得できない重加算税の賦課決定は、
修正申告書の提出内容とは別に、取消の訴えを
おこすことができますので、注意が必要です。

 

※2011年7月当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんので
ご注意ください。

また、ブログの内容等に関する質問は、
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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