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2014.11.07

調査ファイルは調査官の生命線

今回のテーマは、『調査ファイルのヒミツ – 2 -』です。

前回より、調査官が作成する『調査ファイル』についてお話してきました。

事前の調査から内偵調査までの一連の流れをご説明してきましたが
今回は、いよいよ実地調査へ舞台を移します。

今まで作成してきたファイルを精査し、今後の調査方針を組み立てていきます。
税理士を通じての簡単な指導で終了するのか、実地調査とするのかを決めます。

ここで内偵調査で得た情報の中から、特に注意すべきポイントなどは
予め実地調査のスケジュールに組み込んでいきます。

まずは、調査の経緯を時系列に書き込んでいきます。
納税者との世間話から事業内容や家族構成などの事前情報と照合します。

次に室内のレイアウトを作成し、金庫はどこにあった、何が保管されていた
受注伝票や預金通帳はどこにあったかまでを詳細に書き出します。

さらに帳簿についての概況も書き出します。
これは売上、仕入、人件費と項目ごとに分けていきます。

その他、見積書や請求書、領収書、通帳への入金状況など
帳簿とどのように照合していったのか、その経緯も記載します。

これらを受けて、調査で見つけた問題点を書き出します。
例えば、このような非違項目が見つかりました。

「飲食店Aは、昼食時には毎日出前を行ってるにも関わらず、ある期間だけ
伝票が一切見当たらなかった。店主曰く、この期間は出前を休んでいた
と言うが売上を除外していたのは内偵調査からも明らかである」

「キャバクラBは、出勤実態のないアルバイトのタイムカードを作成し
人件費を水増しして申告していた」

など、その理由までを詳細に記載します。

非違項目については、想定される金額も算出します。

「飲食店Aの一週間の出前件数、平均単価はおよそいくらである。
よって伝票ないこの期間に売上を除外した金額はこの程度と想定する」

「キャバクラBは、身元の確認できないアルバイトが数名おり
その分のタイムカードは仮装とみなし、申告とはいくら違うと判断する」

など具体的な数字まで明記します。

「納税者へ修正申告の慫慂(しょうよう)した結果、
この項目に関しては応じる回答得た」

「書き損じの領収書を破棄していた形跡があったため、それらもきちんと
保管をするようにと指導をした」

「出前分のレジ打ちをアルバイトが忘れるケースが多いため
全員に教育の徹底をすることを指導した」

など調査の結果や指導を行った要綱についても細かく記載をします。

修正申告がなされた場合は、その申告書のコピー添付し
調査に関する帳票類のコピーや照合するために用いた
資料等があればこれらもファイルします。

作成が終了したファイルは、統括官に提出し、内容をチェックした後
確認のハンコが押され、調査はすべて終了となります。

この調査ファイルは、税務署に7年間保存されます。
保管庫は万が一税務署が火事に見舞われても、燃えない設計になっています。

次回の税務調査を行う際にも重要な資料となるからです。
言わば『調査ファイル』は、”税務調査の生命線”となる資料なのです。

 

※2010年6月当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんので
ご注意ください。

また、ブログの内容等に関する質問は、
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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