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2017.07.06

調査対象期間が3年から5年に延びる要件

※2017年4月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

 

株式会社InspireConsultingの久保憂希也です。

税務調査の対象期間は、通常3年で運用されていて、
ほとんどの事案でも、事前通知は3年のはずです。

一方で、税務調査が始まってみると、
漏れや誤りが発見され、調査官が
「調査対象期間を3年から5年に延ばします」
などと言い出すケースもあります。

これに反論する方法・根拠を明確に持ち合わせていないと、
単純に調査対象期間が2年も延びるわけですから、
増差税額が不当に高くなる要因になりがちです。

まず理解していただきたいのは、事前通知の効力です。
事前通知は形式的に行われるものではなく、
いったん通知した(された)内容で
法的に拘束力が生じるわけです。
(だからわざわざ事前通知するわけです)

事前通知で「3年」と言われれば、いったんの
調査対象期間は3年であって、4年以上遡るには
法律要件を満たす必要性があるというわけです。

その法律規定は下記です。

国税通則法第74条の9第4項
第1項の規定は、当該職員が、当該調査により当該調査に係る
同項第3号から第6号までに掲げる事項以外の事項について
非違が疑われることとなつた場合において、当該事項に関し
質問検査等を行うことを妨げるものではない。この場合において、
同項の規定は、当該事項に関する質問検査等については、適用しない。

法律規定を簡単に書くとこうなります。

「事前通知した内容から変更・追加等がするには、
非違が疑われることとなつた場合だけである」

この法律規定は非常にわかりにくいので、
下記、国税の内規を確認しましょう。

「税務調査手続等に関するFAQ(職員用)」
(平成24年11月 国税庁法人課税課)
問1−56
事前通知した調査対象期間以外の課税期間につき、
質問検査等を行う場合とは、具体的にどのような場合をいうのか
(答)
事前通知した調査対象期間を調査している過程で非違を把握し、
その非違が認められる取引先との取引が調査対象期間よりも
前の課税期間にも存在するなど、調査対象期間よりも前の
課税期間にも同様の非違が疑われる場合などが該当します。

ここにある通り、事前通知の3年間で非違があるから
そのまま5年に遡れるわけではなく、
【調査対象期間よりも前の課税期間にも同様の非違が
疑われる場合】に遡れるわけです。

この要件を調査官も理解しておらず、
また調査期間の延伸に対して税理士が
反論できないから、対象年度が広がってしまうのです。

あくまでも、

「調査対象年分=誤りがある」

ことが要件なのではなく、調査をしている過程で、

「調査対象期間よりも前の期間=同様の誤りがありそう」

ということが、調査対象年分が延びる要件ということです。

この点は、しっかり理解してください。

 

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一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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