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2016.09.27

調査手続きの違法性にどう対応するか?

※2015年10月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社InspireConsultingの久保憂希也です。

このブログでは、私がよく「税務調査の手続き」
に関して配信しているので、詳しくなった税理士も
多くなったかと思います。

平成25年以降に実施されている税務調査から、
改正後の国税通則法の施行・適用を受けており、
それ以降の調査手続きに関する裁決・判決が
出ていませんでしたが・・・やっと出ました。

「調査手続の違法は修正申告の効果に影響を及ぼさない
と判断した事例」(平成27年3月26日公開裁決)

http://www.kfs.go.jp/service/JP/98/01/index.html

この公開裁決における論点(の1つ)は、
「調査手続きの違法性は、その調査で提出した
修正申告と法的に連動する(無効になる)のか?」
という点ですが、納税者が負けています。

本裁決の中で、不服審判所は

「そもそも調査手続の違法は、それのみを理由として
修正申告及び期限後申告の有効性に影響を及ぼす
ものではないと解されることから、たとえ調査手続に
違法があったとしても、そのことのみで修正申告
及び期限後申告が無効となることはない」

としています。

この論点は以前から疑義があって、

「違法な調査(手続き) ⇒ 処分が無効?」

が連動するかは学説・判例ともに分かれています。
簡単に言えば、ケースバイケースということです。

違法な税務調査を受けておいて、税理士が立ち会って
いながら修正申告を提出することはないにしても、
更正(処分)をされた場合であれば、
「出るところに出れば負ける」(可能性が高い)
ということは間違いないでしょう。

私はセミナー・研究会等でよく言っているのですが、
税務調査は「現場で終わらせること」が大事です。
(出るところなんかに出たくないのが納税者です)

だからこそ、調査手続きに違法性があった場合は、
更正を受けてから文句を言っても(実務上)遅くて、
違法性があるという事実を、税務署
(統括官や調査官)に訴求しなければなりません。

また、本当に調査手続きに違法性がある場合の
主張内容は、「税務調査の打ち切り」です。

納税者からの打ち切り要請は当然のことだと思います。
調査手続きが違法なのです。
違法な調査にまで受忍義務がないと考え、
そのように主張するのは当然の権利かと考えます。

実際に、調査手続きの違法性を主張し、
調査が打ち切りになったケースも多くあります。
(もちろん簡単に打ち切りにはなりませんが)

また、事前通知や無予告調査、調査終了の際の手続き
など、明確な法令等の規定があって、それに
違反している場合は、違法性は明確かもしれません。

その一方で、調査官の言動が「度を超えている」
など、法令等に明記がない場合はどうすべきか?

汎用性のある条文はこれです。

国税通則法第74条の8
第74条の2から前条まで(当該職員の質問検査権等)
の規定による当該職員の権限は、犯罪捜査のために
認められたものと解してはならない。

また、法律規定ではなく、調査手続きに関する
通達もしくは事務運営指針に違反していた場合、
以前、本ブログでも書いた通り、
「国家公務員法違反」になりますから、
当然に同じ主張ができることになります。

国税通則法に調査手続きが移管されてから
もうすぐ丸3年が経とうというのに、いまだ
調査手続きに違法性がある調査が絶えません。

対応方法を誤らないようにしてください。

 

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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