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2015.07.07

重加算税は二重に課される!?

引続き、重加算税についてお伝えします。

重加算税というのは法律では要件が
「隠ぺい又は仮装」とあるだけで、
細かい要件は事務運営指針で決められています。

事務運営指針一覧
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/jimu-unei/jimu.htm

法人税や所得税は当然ながら、すべての
重加算税に関する事務運営指針を読んでください、
と何度もブログで書いていますが、
なかなか詳細なところまで把握するのは難しいものです。

先日重加算税について、このような質問を受けました。

「税務調査の結果、売上の計上漏れが見つかりました。
これ自体は「漏れ」というより「抜いた」かもしれないため、
法人税が重加算税であることは納得しているのですが、
消費税にも重加算税が課されたことに納得できません。
これって重加算税の二重課税ではないでしょうか?」

はい、答えは「重加算税の二重課税になります」。

「消費税及び地方消費税の更正等及び加算税の取扱いについて(事務運営指針)」
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/jimu-unei/shozei/010329-2/01.htm

には、このような記述があります。

(所得税等に不正事実がある場合)
2 所得税又は法人税(以下「所得税等」という。)につき不正事実があり、
所得税等について重加算税を賦課する場合には、当該不正事実が影響する
消費税の不正事実に係る増差税額については重加算税を課する。

ですから、法人税や所得税の修正につれて
自然に動く消費税にも重加算税が課されます。
(事務運営指針の当・不当は問題にしていません)

しかし、別の税目になれば二重課税にならないこともあります。
このあたりが、事務運営指針を読み込む必要があるポイントです。

たとえば、社長が個人的費消を法人の損金に
していた場合を考えてみましょう。

これは

①損金不算入=法人税増加
②認定賞与=源泉税増加

のダブルパンチになるわけですが、
ではどちらにも重加算税が課されるかというと
実はそうではありません。

「源泉所得税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)」
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/jimu-unei/shotoku/gensen/000703-2/01.htm

(認定賞与等に対する重加算税の取扱い)
4 源泉所得税及び復興特別所得税が法定納期限までに
完納されなかったことが不正事実に基づいている限り、
重加算税の対象となる。ただし、法人税について
重加算税が賦課される場合において、法人税の所得金額の
計算上損金の額に算入されない役員又は使用人の賞与、
報酬、給与若しくは退職給与と認められるもの又は配当等
として支出したと認められるもの(以下「認定賞与等」という。)
の金額が当該重加算税の計算の基礎とされているときは、
原則として、当該基礎とされている認定賞与等の金額のうち、
当該重加算税の対象とされる所得の金額に達するまでの
認定賞与等の金額については、源泉所得税及び
復興特別所得税の重加算税の対象として取り扱わない。

と規定されています。つまり、源泉税については
重加算税の二重課税は排除されているのです。

この点、修正申告を提出するまでが仕事と思い、
(重)加算税の賦課通知書を見ないでおくと、
源泉税も二重で重加算税を課されているかもしれません。

税理士として修正申告書を提出して終わりではなく、
重加算税の計算まできちんとチェックしなければなりません。

 

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

2013年2月の当時の記事であり、以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

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