キーマン条項(ロックアップ)の注意点

キーマン条項(ロックアップ)の注意点

KACHIEL M&A事務局の高橋です。

今回は、M&Aの売り手側経営者を、売却後も事業参入させる
キーマン条項(ロックアップ)」について解説します。

中小企業におけるM&Aの多くは、
事業のキーマンが経営者であることが多いため、
買い手側が事業が安定する(引き継ぐ)まで
売り手側の経営者をグリップしようと考えることがあります。

これを可能にするのが「キーマン条項(ロックアップ)」ですが…

これが元で後々トラブルになることが非常に多いのも事実です。

売り手経営者が売却をスムーズにするために

「しばらくは自分が責任を持つ」

と【その時の気持ち】で進めてしまうことがありますが、
設定された期間中は原則やめることができません。

特に「100%譲渡」後のロックアップは、
売却を達成した売り手経営者からすれば、
自由がきかなくなるストレスや、
買い手の方針でモチベーションが低下することもあり、
M&A交渉時の【その時の気持ち】とは大きく変化する可能性があります。

これにより買い手の期待値と大きくズレる結果となり、
トラブルになるというわけです。

このようなことから、買い手側は

「~してほしい」
「~してくれないと困る」

といった「売り手側経営者の動き」の必要がある場合は、
いかにモチベーションや目的を保てるかを考える事が重要になるわけです。

具体的な方法としては、

(1) 「アーンアウト条項」のついた契約を締結

⇒ロックアップ期間の業績で取得対価の総額が決定する。
例としてはM&A締結時に半額だけ精算(支払い)の上、
ロックアップ終了時に残額を再度調整(価格決定)。

(2) 取得価額の一部を役員報酬として、ロックアップ期間に支払う

⇒いったんはロックアップ期間中に役員報酬等を支給するが
役務提供(業績)の価値(結果)がともなわないことになれば、
役員報酬を支給しない、または減額にする権利を買い手が持つ。

(3) 業績(目的)を見ながら段階的な株式取得を行う

⇒結果が思わしくない場合は、それ以上の株式取得は行わない。
また、両社の必要に応じて「合意書」で買い戻しの条件をつける。

等がありますが、
(1)(2)(3)を実施する際には、

◯◯までに(期限)
□□の場合は(結果)
△△する(結果に対しての約束)

というように、
双方で「目標・目的」と「結果」に対しての条件を
できる限り明確に決めておくことが必須です。

キーマン条項(ロックアップ)を実施する場合は、
「人の気持ち」が非常に変わりやすいことを前提に、

「売り手側経営者が、ロックアップ中の経営に価値を感じられるか」

ということを、買い手側で考察・検討することが不可欠になります。

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