DDを実施する際の着目点・注意点(4)

DDを実施する際の着目点・注意点(4)

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

以前の私のメルマガから引続き、DD(デューデリジェンス)を実施する際に、着目すべき点などを解説します。
今回がシリーズの最後になります。

DD実施で大事なのは「簿外」であることは繰り返し解説してきました。
「簿外」取引のなかでおそらく(悪い意味で)一番インパクトが大きいのは「粉飾」か「脱税」ということになります。

もちろん、帳簿処理上から粉飾または脱税を見抜ければベストになるわけですが・・・
今回は、ヒアリングでの見抜き方と、そのリスクヘッジ方法を解説します。

まず、DDを実施する相手方の会計処理が、自社でやっているのか、もしくは記帳代行など外注先が行っているのかによって大きく変わります。

自社で会計処理をやっている場合は、言い方は悪いですが「何でもやり放題」と捉えることもできますので、私の場合は経営者に対して直接ヒアリングします。

「粉飾や脱税をやっていた場合、このMAが成立した後に発覚すれば大変なことになります。もししているなら正直に言ってください」

この質問はかなり直接的ですが、その反応・回答でかなりの判断をすることができます。

私が今までこの質問を経営者にして、「粉飾・脱税している」と答えた人はいませんが、実際「えっ、粉飾のやり方があるなら教えてください」と聞いてきた経営者がいます。
(赤字とキャッシュ不足で悩んでいる会社でした)

この方は、粉飾も脱税もする知識がない経営者なので、DDではその部分を追う必要性を下げることができます。
(実際には確認をしますが)

なお、この経営者の法人をDDした際にはかなり杜撰な処理ばかりで、違う意味で誤りの是正(更正の請求)をしてもらいました。

次に、記帳代行を会計事務所などに依頼しているケースですが、この場合、受託しているところにヒアリングをかける必要があります。

この場合、直接的に質問すると、「粉飾・脱税のほう助」で法的責任を負う可能性からウソをつかれることも想定されるため、会計処理の依頼方法・会計ソフトへの入力指示など、誰が・何を・どこまで処理しているのか、経理状況の把握をすることになります。

私の経験上DDで、記帳代行をしている会計事務所にヒアリングを断られたことがあるのですが、このような場合、粉飾・脱税をほう助している可能性が高いと考えてDDを実施しました。
(この案件は買い側が途中で案件をストップして、DDも途中のままブレイクしました)

そして、これが最も大切なことで、かつあまり実施されないことなのですが、M&Aの契約を締結する際には、契約書に【会計・税務上の表明保証】を盛り込むことです。

M&A時の契約書に表明保証を入れるのは、弁護士が入れば当然のことと思います。

「M&A契約における表明保証条項の意義と裁判例における文言解釈」
https://business.bengo4.com/practices/977

一方で、弁護士が作成する契約書にはほとんどの場合【会計・税務上の表明保証】に関する条項が入れ込まれないことになります。

買収後に脱税等が明るみになった場合、その税負担をどちらが負担すべきか、表明保証等により契約書に記載がなければ買収した側が負担することになるのが通例です。
(民事による訴追はあり得ますが)

だからこそ、税理士がDDを担当する場合は、契約書に【会計・税務上の表明保証】を盛り込ませることが重要であり、価値になるのです。

話は戻りますが、M&Aの契約書に表明保証を入れることから、ヒアリング時には「あとで発覚すれば大変な賠償責任を負う」ということが脅しではなく、売却側の実際のリスクとして明言できるわけです。

DDを実施したから全ての簿外を把握できるとは限らないからこそ、表明保証は重要になりますし、弁護士を入れていても加味されない部分になりますから、ぜひ注意していただきたいです。

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