税理士事務所のM&Aにおける注意点・盲点(1)

税理士事務所のM&Aにおける注意点・盲点(1)

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

弊社では、税理士・会計事務所の顧問先に関するM&A(特に事業承継難・事業の整理)を中心に案件を仲介しております。

一方で、税理士・会計事務所同士のM&Aも手掛けさせていただいており、直近では5月に事務所同士の経営統合を仲介させていただきました。

この案件は、「少が大に売却」ではなく、事業拡大という同じ目的を持った税理士同士が経営統合するというもので、弊社が抱えている案件の多くは、このような目的なものになります。

さて、本メルマガの私の回では、以後数回にわたって税理士事務所のM&Aについて解説していきます。

まず、税理士の個人事務所を売却した際の譲渡対価は何所得になるか、ご存知でしょうか?

これに対する答えは明確で【雑所得】です。下記の個別通達がかなり昔から存在します。

「税務および経理に関する業務」の譲渡に伴う所得の種類の判定について」
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/shotoku/shinkoku/670727/01.htm

その根拠・理由はここに明記されていますが、
「得意先のあっせんの対価と認められる」
と考えるからです。

顧問先・従業員を含めて、税理士事務所全体を売却したという認識であっても、あくまでもその顧問先は買収先に契約変更することになり、「顧問先の紹介に対する対価」となるわけです。

譲渡所得でも一時所得でもないことから、税理士自身が税負担に苦しむことになります。

税理士事務所を売却する譲渡対価は一般的に「売上相当額」を基準として、そこに対してプラスマイナスで調整することが多いです。

典型例としては、下記のようになります。

・売上額:1億円
・従業員数:12名
・税理士の事業所得:2,500万円

税理士事務所の場合、在庫も設備投資もなく、売掛金の滞留もほぼ無いでしょうから、営業利益に対する3~4倍程度のバリュエーションが基準ということです。

ここで、売却額を売上額の1億円とした場合、雑所得で総合課税となり、実効税率・手残り額を考えると半分以下になることから、事務所売却を断念するケースが多くあります。

そのため一般的には、丸ごと事務所売却を実行せずに、売却側の税理士本人に関して2~3年のロックアップ期間を設定し、顧問先移行(契約変更・業務の引継ぎ)をしてから退職金として支給するケースもあります。

これに関しては、以前メルマガ配信した「ロックアップを税理士事務所のケースで解説」で詳細をご覧ください。

また、雑所得となるのは相続が発生した場合であっても同じです。

相続人が税理士でない場合、税理士本人の死亡によって事務所(顧問先)を売却することになりますが、事務所の相続をすることにはならない(相続税は課されない)一方で、売却時の対価は雑所得となり総合課税の対象となります。

なお、再来週の本メルマガでは、個人事務所だけではなく、会計法人がある場合の売却について解説しますが・・・・

税理士事務所の拡大・事業承継難等で、事務所の売却、もしくは経営統合を考えている方はぜひ弊社までご連絡ください。

弊社は全国の税理士にネットワークを持っていますので、ご要望にお応えできると自負しております。

【連絡先】
株式会社KACHIEL
電話番号:03-5422-6166
アドレス:mainfo@kachiel.jp

来週以降も引続き、税理士事務所のM&Aについて深く解説していきます。

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