税理士事務所のM&Aにおける注意点・盲点(2)

税理士事務所のM&Aにおける注意点・盲点(2)

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

前回(先々週)の本メルマガから引続き、税理士事務所を売却する場合の税負担等について解説しますが、今回は税理士事務所特有の問題に加え、他の業種であっても汎用性ある内容となっています。

さて、前回は売却事例として、

・売上額:1億円
・従業員数:12名
・税理士の事業所得:2,500万円

の個人事務所を、売上相当額の「1億円」で売却する場合について考えてみました。

この1億円は雑所得(総合課税)となりますので、実際の手残りは半分以下になります。

一方で同じ事務所が、会計法人と個人事務所で分かれていた場合において、売却する場合であればどのような課税関係と手残り額になるのでしょうか。

会計法人で売上を計上し、個人事務所へ外注費を支払っている場合で、従業員は会計法人での雇用だと仮定します。

(例)会計法人+個人事務所

〇会計法人
・売上額:1億円
・従業員数:12名
・税理士(代表)の役員報酬:1,500万円
・税理士事務所への外注費:1,000万円
・法人所得:0円

〇個人事務所
・売上額:1,000万円
・従業員数:0人
・税理士の事業所得:700万円

この場合で、会計法人+個人事務所を併せて1億円で売却する場合の内訳は、売却価格の設定が「売上相当額」であることから、

〇会計法人:9,000万円
〇個人事務所:1,000万円

と考えることが妥当です。

この売却金額を前提とすると、1億円の手残りは

〇会計法人=株式譲渡:9,000万円×80%
〇個人事務所=雑所得:1,000万円×(1-税率)

となり、会計法人を保有していた方が手残り額が圧倒的に有利であることがわかります。

また、上記の例をもうちょっと掘り下げてみると、会計法人側で顧問先と契約をし、個人事務所側は会計法人からの外注のみですから、売却時はこのような切り分けすら不要で、会計法人だけを1億円で売却し、M&A実施後は買収側の税理士事務所が外注を受ければよく、

〇会計法人=株式売却:1億円×80%

とすることも可能だと考えます。

このように、税理士事務所のみならずですが、その他士業など個人事業主の売却事案について、法人が絡んでいるだけで手残り額が圧倒的に増えることは真剣に考えるべき要素です。

税理士も親族内で事業承継を考えていない場合、どこかで「出口」を考えなければならず、その点、会計法人は有効に活用すべきでしょう。

次回私のパート(再来週)は個人事務所ではなく「税理士法人」の出口について解説します。

なお、先々週のメルマガでもご案内しましたが、弊社では税理士事務所のM&Aも取り扱っています。

将来的なことを含めて、事務所の「出口」や、経営統合による拡大等を考慮されている方は、ぜひ弊社までご連絡ください。

【連絡先】
株式会社KACHIEL
電話番号:03-5422-6166
アドレス:mainfo@kachiel.jp

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