段階的なM&Aは全体の本質を捉える事が大事

段階的なM&Aは全体の本質を捉える事が大事

昨年、実際に弊社で取り扱ったM&A案件で、
「段階的な株式の取得」で成約に至った案件があります。

この案件を成約するにあたり「全体の本質を捉える事」が、
とても重要でしたので紹介します。

売り手企業は非常に特殊な業種で、
通常の新規参入が難しい「既得権益」に近い
業界での事業を行なっており、
買い手企業はシナジーがある新規事業を積極的にM&Aする意向を
お持ちで、売り手企業の特殊性と成長性、シナジーに
強い可能性を感じたことで前向きに検討を頂いておりました。

とはいえ、事業の特殊性から、一気に引き継ぐことは
現実的では無いため、業務提携を行いながら、
段階的に株式取得と経営陣の引継ぎを行う形で
協議することになりました。

約5年間で3段階(分割)に分けた株式取得を行う形で
協議を進めていましたが、初回の株式取得価額の
売り手・買い手の要望は下記の内容でした。

・売り手企業はバリュエーション2億1千万円として、
その三分の一の7千万円の要望

・買い手企業は、EBITDA3年分+純資産で算定した上で、
バリュエーションを1億5千万円として、
その三分の一の5千万円の要望

従来の100%株式取得のM&Aであれば、
よくある当たり前の価格の差ですが、
今回の段階的なM&Aにおいては、
完全取得までの全体像と、
その本質と目的を捉えた上での調整
必要になります。

今回のM&Aの目的は「成長性・シナジー」の可能性
ある事を大前提として進めており、
仮に初回の株式取得を買い手企業の要望価額で
進められたとして、2回目の株式取得へ進む場合は、
「成長性・シナジー」の結果がありきとなりますので、
「その時」にはバリュエーションが上がっていることが
当然と言えます。

そして「その時」のバリュエーションを上げた貢献者は
誰かとの議論となり、買い手企業のシナジーによる要因であれば、
自身が上げた価値分を売り手企業に支払うといった事になり、
結果、「どっちが貢献した論」で揉める可能性が
極めて高いことが予測できます。

そこで、下記の提案をしました。

(1)バリュエーションを2億1千万円で「固定」して、
三段階の株式取得価額は全て7千万円とする。

(2)途中で両社が「事業引継ぎが困難である(シナジーが無い)」
と判断した場合は、譲渡した株式を売り手企業が買い戻す。

この提案で売り手の本来の希望価格を満たし、
買い手の未来の目的に沿った価値を「確定」することで、
リスクを最小限に新たな可能性に挑戦できることもあり、
無事に成約にいたりました。

1点補足しますと、(2)の買い戻し条件については、
出資法に抵触することから、譲渡契約書には記載せずに、
「合意書」という形で締結しておりますが、
経済合理性からも、両社同等の「必要性」があるため、
スムーズに合意を得る事ができました。

今後、業務提携を入口とした段階的なM&Aの事例は、
益々増えていくと思われます。

お互いに相性を確認しながら進められることもあり
有効な手段ですが、目的と起こりうる全体像を
的確に押さえて進めることが重要です。

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