KACHIEL(勝ち得る)M&A事務局の高橋です。
今回のメルマガでは、売り手経営者と関わるプレイヤーが、どのように「目的と気持ち(要望)」を整理するか?
という事において、重要な作業となる、
「買い手候補のリスト作成」
について解説します。
当然ではありますが、自社でいくらM&Aを検討・議論しようと、「買い手候補先」が無ければM&Aは成立しません。
そこで、これまで私のメルマガで解説してきた、企業概要書(自社の強み)やシナジー(相乗効果)を考慮した上で、「どのような企業へM&Aのアプローチを行うか」という目的で「買い手候補のリスト作成」を行う必要があります。
この工程は、実際の企業(買い手候補)をベースに検討することで、売り手経営者の「気持ち」や「価値観」を明確にすることができます。
一般的に「ロングリスト」と言われる、買い手として可能性のある企業を集めたリストを見ながら、その候補先企業について考えて、「絞り込み」を行います。
この「絞り込み」の工程は、売り手経営者はもちろんのこと、M&Aに関わるプレイヤーにとっても、売り手側のポリシーや価値観、考え方を整理する上でとても役に立ちます。
「この企業は良い」
「この企業は良くない」
という売り手経営者の判断に対して、
「なぜ良くて、なぜ良くないのか?」
という「理由」を明確にすることで、考え方、方向性といった「気持ち」が把握できるのです。
この「現状の気持ち」を把握することで、間違った方向性や価値観を事前に修正することも可能になり、また、そのような理由(考え方)ならば、このような企業にも可能性があるのでは?といった、新たな発想で候補先企業を考えるきっかけにもなります。
そして、「絶対に譲れない条件」ということも、より明確に整理されていきます。
売り手経営者が「成功」と思えるM&Aの条件を大きく分けると、
1)満足いく譲渡益(資金)が手に入る
2)理想的な事業継続ができる(従業員や地域の為になる継続など)
上記の2つに集約されます。
1)の「満足のいく譲渡益」を実現するには、当然、シナジーなども含めた「価値の最大化」が見込める企業が候補先となるわけですが、複数の異なるタイプの候補先が発生する可能性が少なくありません。
一番分かりやすい例を挙げると、同業種の候補先と、異業種の候補先になります。
異なるタイプの候補先へは、当然、アピールするべきポイント(価値)も異なってくるので、候補先が求めていると想定される「ニーズ」をよく考えた上で、リスト作成の段階で、タイプ別に分類しておくことをお勧めします。
次に考慮すべき条件である、
2)の「理想的な事業継続ができる」については、「複数の異なるタイプ」があるということは基本的には無く、どれだけ「共感」「安心」できる候補先であるか、ということが重視されます。
ホームページや業界の評判といった、表に出ている情報をもとに、「理念」や「経営戦略」などが「共感」できることと、「規模感」や「社会的信用」などが「安心」できるか、などの「売り手経営者の価値観」で判断します。
この価値観は様々で、「規模が大きい(上場会社など)」ことが「安心」に繋がることもあれば、全く逆に、自社の持ち味を考えると、「規模が大きい(上場会社など)」ことを「不安」に思う売り手経営者がいるのも事実です。
これらの条件をもとに、分類作成したリストに対して、「優先順位」を整理することで、「自分が本当に譲りたい相手」が見えてくるわけです。
実際に買い手候補と折衝してみると、想定と大きく異なるといったことも多々ありますが、このように事前に候補先企業について検討・考察することで、「判断基準の軸」が形成されることは、大きな意味を持ちます。
次回の私のメルマガでは、リストアップした候補先企業へのファーストアプローチとして欠かせないツールである、「ノンネームシート」の作成のポイントについて解説します。