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2017.08.21

進行年分の調査は認められるのか?

※2017年5月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

 

株式会社InspireConsultingの久保憂希也です。

税務調査の手続きを考えるうえで重要なことに、
調査の「対象期間」があります。

今回は、そもそも進行期年分の調査は
認められるのか?という論点を解説します。

まず、進行年分(期)とは、「申告期限が
到来していない現在の年分・事業年度」を指します。

進行年分の調査としてあり得るのは、
過年度分の調査をしていて、現在の経理処理
状況などを確認する必要が生じたような場合でしょう。
これは、話がわかりやすいでしょう。

一方で、無予告調査でよく行われる「現金監査」。
飲食店などの現金商売では、無予告調査に入って
そのままレジ内の残高を確認する調査手法です。

この現金監査は、どう考えても
進行年分の調査に該当することになります。

進行年分の調査については、通達に規定があります。

国税通則法第7章の2(国税の調査)
関係通達の制定について(法令解釈通達)
4−5(「調査の対象となる期間」として事前通知した
課税期間以外の課税期間に係る「帳簿書類その他の物件」)
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kobetsu/zeimuchosa/120912/03_2.htm#a04_5

事前通知した課税期間の調査について必要があるときは、
事前通知した当該課税期間以外の課税期間(進行年分を含む。)に
係る帳簿書類その他の物件も質問検査等の対象となることに留意する。
(注) 例えば、事前通知した課税期間の調査のために、
その課税期間より前又は後の課税期間における経理処理を確認する
必要があるときは、法第74条の9第4項によることなく必要な範囲で
当該確認する必要がある課税期間の帳簿書類その他の物件の
質問検査等を行うことは可能であることに留意する。

このように、進行年分の調査は「その課税期間より
前又は後の課税期間における経理処理を確認する
必要があるとき」に行うことができるとされています。

進行年分の調査について、さらに核心をついた
解説が国税の内部資料に載っています。

税務調査手続等に関するFAQ
(職員用 共通 平成24年11月 国税庁課税総括課)
問1−24 進行期についても、「調査の対象となる期間」
として事前通知を行う必要があるのか。
(答)
進行期については、更正決定等を目的とした調査の
対象期間とはなりませんので、事前通知事項である
「調査の対象となる期間」には含まれません。
なお、改正通則法第74条の9第1項の規定により通知を行った
「帳簿書類その他の物件」には、調査の目的を達成するために
必要であるときは、例えば、「調査の対象となる期間」として
事前通知した期間以外の期間(進行年分を含む。)に係る
帳簿書類その他の物件も含まれます(手続通達1−5)。
したがって、事前通知した調査の対象となる期間
(年分・事業年度)の納税申告書の記載内容の確認のために、
進行期に作成・取得された帳簿書類等を検査することは可能です。

ここに明記されているとおり、進行年分は
(原則として)調査の対象期間にはならないのです。

では、過年度分の調査を行うことなく、いきなり
実施される現金監査について、税理士として
「進行年分の調査だから現金監査は認めません」
と、皆さんは主張しているのか?ということです。

進行年分の調査については、調査現場で
当然のごとく行われているかと思いますが、
実際には調査対象にはならないのが原則ですから
この点はきちんと知っておいてください。

 

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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