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2018.07.18

年払い保険料が役員給与として課税される場合の注意点

※2017年12月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

日本中央税理士法人の見田村元宣です。

今回は「年払い保険料が役員給与として課税される場合の注意点」

ですが、2つの裁決を取り上げます。

まず、以前の復習ですが、年払い保険料が役員給与に該当する場合でも、

それは役員賞与ではなく、定期同額給与となります。

ここは下記が根拠となりますが、

税務調査においても間違った指摘がされている実例がありますので、

ご注意ください。

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平成19年3月13日付課法2−3ほか1課共同

「法人税基本通達等の一部改正について」(法令解釈通達)の趣旨説明

なお、定期同額給与に該当する経済的利益の供与に関連して、

例えば、法人が役員にグリーン車の定期券を支給している場合で

その定期券が6ヶ月定期であるときや、役員が負担すべき生命保険料を

負担している場合でその保険料を年払契約により支払っているとき

については、これらの支出が毎月行われるものでないことから、

その供与される経済的利益の額は定期同額給与に該当しないのではないか

との疑義を抱く向きもあるようである。

しかしながら、「その供与される利益の額が毎月おおむね一定」かどうかは、

法人が負担した費用の支出時期によるのではなく、その役員が現に受ける

経済的利益が毎月おおむね一定であるかどうかにより判定することとなる。

したがって、上記のように、法人の負担した費用が、その購入形態や

支払形態により毎月支出するものでない場合であっても、

当該役員が供与を受ける経済的利益が毎月おおむね一定であるときは、

定期同額給与に該当する。
———————————————————————

では、これが定期同額給与に該当するとして、年払い保険料ですから、

それが支払った期の損金になるためには、短期前払費用に該当する必要が

あります。

これにつき、保険料が給与課税になっている事例ではありませんが、

役員給与が短期前払費用に該当するか否かにつき争われた事例として、

下記の2つがあります。

〇平成9年3月5日裁決

役員報酬は、役員が株主等からの委任を受けて業務を遂行する対価であって、

時の経過に応じて自動的、合理的に費用化される支払利息、地代、

家賃等の前払費用とは性質を異にすること及び役員報酬は、企業の利益を

生み出す重要な費用であると解されるところ、企業会計においても

重要性が乏しい費用とはいえないことから、短期の前払費用に

当たるとは認められない。

〇平成15年2月20日裁決

各役員報酬は請求人の業務を執行したことに対する対価として、

本件各給料及び本件各賞与は請求人の指揮命令の下に労務を

提供したことに対する対価として、それぞれ支払われるものであって、

このような人件費は、企業が営利活動を行う上で必要なものであり、

企業活動の根幹に係る行為に対する対価であることからすると、

会計科目としての重要性を有するといえる。

短期前払費用は重要性の乏しいものについて認められており、

これは金額の多寡という重要性が論点になることが多いです。

しかし、上記2事例のように「勘定科目としての重要性」も

論点になり得るのです。

そして、役員報酬勘定はそもそも重要性がある勘定科目だと

判断されているのです。

そうなると、実際にどの程度の否認リスクがあるかは別問題として、

年払いで保険料を支払い、役員給与としての課税になる場合、

それが「どの時点の損金か?」と言うのは別問題になります。

否認指摘される可能性がない訳ではないので、

この点もしっかりと押さえておき、年払い保険料が役員給与となる場合、

この点もお客様に明確に説明しておく必要があるのです。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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