• HOME
  •  › ブログ
  •  › 社内旅行の「高額」とはいくらなのか?
2020.12.25

社内旅行の「高額」とはいくらなのか?

※2019年6月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

前回の金曜本メルマガでは、社内で開催する
イベント費用が給与課税されない要件について
解説しましたが、もう1つ重要な論点として
「高額ではない」という要件があります。

高額でなければ給与課税しない、高額であれば
給与課税するというのは、所基通36-29に
「経済的利益の額が著しく多額であると認められる場合
(略)を除き、課税しなくて差し支えない。」とあり、
また同36-30における「社会通念上一般的に
行われていると認められる(略)費用」に
該当しないと解釈されるからです。

社員旅行については、個別通達が定められており、
「4泊5日以内」「50%以上の参加」で
給与課税しないと規定されています。

個別通達
「所得税基本通達36-30(課税しない経済的利益
・・・使用者が負担するレクリエーションの費用)
の運用について(法令解釈通達)」
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/shotoku/gensen/880525/01.htm

「No.2603 従業員レクリエーション旅行や研修旅行」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2603.htm

しかし、この中にも金額基準は明示されておらず、
上記の要件を満たしていても高額と判断されれば
給与課税されることになります。

これも「日当」と同じで明確な基準がない
わけですが、一般的に「高額な旅行」の基準は
10万円/人以内が無難かと考えます。

20万円/人以上の費用負担をして否認された
ケースは多く、例えば平成22年12月17日裁決
(その後、東京地裁平成24年12月25日判決・
東京高裁平成25年5月30日判決でも敗訴)
では、マカオ2泊3日・241,300円/人
となっていますので、20万円超の社内旅行は
高額と指摘されても仕方ないでしょう。

一方で、平成3年7月18日裁決では、
タイ3泊4日・183,000円/人が
福利厚生費として認められています。

しかし、(株)産労総合研究所のアンケート
調査結果を見ると、海外旅行の費用平均額が
おおよそ10万円程度となっていることから、
10万円程度が無難という結論です。

また、「5年に1回の社内旅行だから高額」
というロジックも難しいでしょう。

過去は本当に5年に1回だったのかもしれませんが、
以後は連年で社内旅行に行く可能性もあり、
また所得税は暦年課税ですから、
経済的利益の判定は単年で行うという
考え方の方が論理としては通っています。

もちろん、あくまでも高額であることの判断は
総合勘案であって、一概に言えるものでは
ありませんが、「高額だから給与課税」となれば
課税インパクトが大きいことから、
無難に捉えておいた方がいいでしょう。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

毎週水曜日に配信する『税務調査対策のメールマガジン』では、最新の税務調査事情はもちろんのこと、調査官の心理、税務署のウラ側など元国税調査官だからこそ語れるマニアックなテーマまでをお届けします。
「こんなことまで話して本当に大丈夫ですか?」 と多くの反響を頂く税理士業界では話題のメルマガです。
お名前とメールアドレスを登録するだけで 毎週【 無料 】でメルマガを配信いたします。