2015.01.21

源泉の重加算税は?

今回のテーマは、『源泉の重加算税は? 』です。

皆さんから寄せられる相談で、最も少ないのが「源泉所得税」
(以下、「源泉」と書きます)に関するものです。

過去いくつか源泉に関してご相談をいただきましたが、
税務署とモメている、というものではなく、
処理に関して相談しておきたいという内容ばかりでした。

源泉の場合、税務調査でモメるポイントは

・給与、退職金などの支払時期がズレている場合
・通勤費、旅費など課税対象に疑義がある場合
・会社が源泉を実質負担していてグロスアップ計算が必要な場合

などに集約されると思います。

これ以外でよくありがちなのは、
接待交際費が私的支出だと指摘され、
支出した役員の賞与(認定賞与)とされた場合、
これはもう給与収入の額面金額が上がるわけですから、
無条件に源泉が発生すると判断できます。
私的支出かどうかでモメることはあっても、
否認確定後の源泉でモメることはないようです。

では源泉の重加算税の取扱いに関してはどうなのでしょうか?
弊社に相談がないということは、税務署とモメていない
というだけで、実は間違った取扱いが横行している
可能性が高いと思っています。

まずはこちらをきちんと読んでください。

「源泉所得税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)」
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/jimu-unei/shotoku/gensen/000703-2/01.htm

ここでポイントにしたいのは、
「3 源泉徴収義務者が直接不正に関与していない場合の取扱い」
についてです。以下、この部分の抜粋です。

「不正事実は、源泉徴収義務者に係るものに限られるのであるから、
例えば、源泉所得税を徴収される者に係る不正の事実で、
源泉徴収義務者が直接関与していないものは、
不正事実に該当しないことに留意する。」

つまり、役員が「不正に」接待交際費を私的に
支出していたとしても、「源泉所得税を徴収される者」
が不正をしていたのであって、
「源泉徴収義務者が直接関与していない」のであれば、
この追徴源泉額については重加算税は課されません。

また役員が取引先からリベート等を受け取っており、
個人的な収入にしていた場合、会社(源泉徴収義務者)が
加担していないのであれば、この追徴源泉額にも
重加算税が課されない、という規定なのです。

※どちらのケースも否認部分が
 認定賞与になることを前提として書いています

「従業員の不正=損金不算入」部分が結果として、
法人税の重加算税とされるのは当り前ですが、
税務調査の現場では、
「法人税に重加算税=源泉に重加算税」
と勝手に解釈されているふしがあります。
(もちろん調査官の誤認も含めてです)

法人が直接関与していなければ
従業員の私的不正に関する源泉には
重加算税は課されませんのでぜひ注意してください。

 

※2011年3月当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんので
ご注意ください。

また、ブログの内容等に関する質問は、
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

毎週水曜日に配信する『税務調査対策のメールマガジン』では、最新の税務調査事情はもちろんのこと、調査官の心理、税務署のウラ側など元国税調査官だからこそ語れるマニアックなテーマまでをお届けします。
「こんなことまで話して本当に大丈夫ですか?」 と多くの反響を頂く税理士業界では話題のメルマガです。
お名前とメールアドレスを登録するだけで 毎週【 無料 】でメルマガを配信いたします。