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2023.02.24

生命保険における名義変更時の課税関係

※2022年2月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

税理士法人レディングの木下でございます。

今回のメルマガは、
「生命保険における名義変更時の課税関係」をお届けします。

ただし・・・
「個人間の名義変更」を前提としていますので、
その点だけご承知おきください。

■事例
一時払終身保険で保険料1,000万円
契約者(=保険料負担者):父(80歳)
被保険者:長男(50歳)
死亡保険金受取人:父(死亡保障1,800万円)

1.想定(1)(被保険者(長男)の相続発生時)
被保険者(長男)が
契約者(父)より先に相続が発生すると
死亡保険金受取人である父が
1,800万円受け取ることになります。

そうすると・・・
父は1,000万円の支払いに対して
1,800万円の死亡保険金を手にしたことになります。

具体的には・・・
父は800万円が所得(一時所得)とされ
所得税が課税されることになります。

2.想定(2)(契約者(父)の相続発生時)
契約者(父)が被保険者(長男)よりも先に相続が発生すると
保険事故(死亡)は発生していないため、
死亡保険金は支払われません。

この場合・・・
父の本来財産として相続税の課税対象となります。

具体的には・・・
生命保険契約を相続する相続人(長男と仮定)が
相続開始時点の解約返戻金相当額(仮に1,200万円)につき
相続税が課税されることになります。
ただし、本ケースでは非課税枠はありません。

3.想定(3)(契約者(父)から長男への名義変更時)
契約者(父)が生前に
生命保険契約の契約者を長男へ名義変更した場合
そのタイミングでは贈与税は課税されません。

ただし・・・
父の生前に長男が生命保険契約を解約した場合には
解約時の解約返戻金相当額(仮に1,200万円)につき
父から長男へ贈与があったものとして
贈与税(246万円※)が課税されることになります。
※ 特例税率の適用
(1,200万円‐110万円)×40%-190万円

+α 
国税庁HP/質疑応答事例/
生命保険契約について契約者変更があった場合
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/sozoku/14/05.htm

4.想定(4)(長男への名義変更後、解約前に父の相続発生時)
想定(3)の派生版になります。

長男への名義変更時に
長男への贈与税課税はありません。

ただし・・・
長男への名義変更後、父に相続が発生すると、
保険料負担者である父のみなし相続財産として、
契約者である長男に
相続開始時点の解約返戻金相当額(仮に1,200万円)につき
相続税が課税されることになります。
ただし、本ケースでは非課税枠はありません。

個人間の名義変更でも複数パターンが想定されます。
特に想定(3)(名義変更時)は、法人が絡む場合には
課税関係が今回と異なりますので、注意が必要です。

法人が絡む名義変更については
今後どこかのタイミングで取り上げたいと思います。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

著者情報

木下勇人

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