• HOME
  •  › ブログ
  •  › 申告所得税で更正の請求ができるケース・できないケース(後半)
2022.02.10

申告所得税で更正の請求ができるケース・できないケース(後半)

※2021年2月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

今年の確定申告期限について、国税庁から
正式に1ヵ月の延長が発表されましたね。

https://www.nta.go.jp/data/030202kigenencho.pdf

さて、先週金曜の本メルマガに続いて、今回も
個人の確定申告で更正の請求ができる・できない
パターンについて解説します。

●配当控除

確定申告において申告分離課税を選択した
上場株式等の配当等については、後になって
総合課税の有利なことに気付いても選択変更不可
のため、更正の請求をすることはできません
(修正申告による選択変更もできません)。

「No.1331 上場株式等の配当等に係る申告分離課税制度」

さらには、確定申告を要しない配当所得を
申告した後で、配当所得を除く更正の請求を
することもできません(措通8の5-1)。

ですが、配当控除が漏れていた場合、
配当控除には当初申告要件が(もともと)
ありませんから、更正の請求はできます。

●外国税額控除

外国税額控除については、平成23年12月以降に
適用の税制改正において、当初申告要件が廃止、
および控除額の制限の見直しをされています。

「平成23年度更正の請求の改正のあらまし」

当初申告で外国税額控除の適用が漏れた場合
のみならず、適用額を誤って増額させたい場合で
あっても、更正の請求をすることができます。

以前は更正の請求ができませんでしたので、
いまだに勘違いしている方が多いポイントです。

●寄付金

政党又は政治資金団体に対する政治活動に関する
寄附金で一定のものは、政党等寄附金特別控除
(税額控除)を適用することができます。

「No.1260 政党等寄附金特別控除制度」

これはあくまでも、寄附金控除(所得控除)との
選択適用となりますので、更正の請求によって
政党等寄附金特別控除への選択変更はできません。

ただし、寄付金控除の適用および増額については
更正の請求をすることはできます。

今年の申告においては、ふるさと納税だけでなく、
イベント中止による払い戻しを受けなかった場合
なども寄付金控除の対象となります。

「文化芸術・スポーツイベントを中止等した
主催者に対する払い戻し請求権を放棄した場合」

これらが当初申告で漏れていた場合であっても、
寄付金控除を増額させる更正の請求は
できることになります。

確定申告業務においては、有利選択の適用を
間違えないことは必須(更正の請求ができない)
であることと併せて、当初申告要件があるのか、
さらには控除額の制限の見直しができるのかが、
更正の請求ができる・できないの分岐点になります。
ぜひ、注意してください。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

毎週水曜日に配信する『税務調査対策のメールマガジン』では、最新の税務調査事情はもちろんのこと、調査官の心理、税務署のウラ側など元国税調査官だからこそ語れるマニアックなテーマまでをお届けします。
「こんなことまで話して本当に大丈夫ですか?」 と多くの反響を頂く税理士業界では話題のメルマガです。
お名前とメールアドレスを登録するだけで 毎週【 無料 】でメルマガを配信いたします。