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2021.11.08

交際費課税:総論(後編)

※2020年8月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

先週金曜の本メルマガから「交際費課税」を
取り上げていますが、今回は課税要件の本丸、
「接待・供応・慰安・贈答」について。

交際費を突き詰めると「接待・供応・慰安・贈答」
(その他これらに類する行為)に該当するか
どうか論点になることがほとんどです。

交際費課税の範囲については、「接待」
行為がその中心となります。

接待とは一般的に食事をふるまうことを指し、
食事を共にすることで相手方の歓心を買うことで
事業を円滑に遂行する目的だと考えられます。

「供応」とは酒食を共にしてもてなすことで、
接待とほぼ同じ意味と考えて問題ありません。

「慰安」とは一般的には、従業員等の
労をねぎらうための酒食だと考えられ、
区分するのであれば本来は福利厚生費ですが、
高額もしくは一部の従業員を対象とした場合、
交際費課税の対象となるものです。

「贈答」とは物を贈ったり、お返しすること。
お中元・お歳暮などは贈答になります。

ここで注意すべきは「贈与」ではないこと。
金銭および資産の贈与は、原則として
法人税法の「寄付金」に該当するという
論点であって、交際費課税の範囲外です。

上記のように「接待・供応・慰安・贈答」の
いずれの行為であっても、そもそも
【相手方の歓心を買うことで、事業を円滑に
遂行する目的】のために支出されるものです。

すでに取引がある顧客・取引先に対して
接待や贈答を行うのは、「以後も継続して
取引をお願いします」という目的ですし、
現行は取引がない見込客等に対して
接待や贈答を行うのは「以後何かあれば
弊社にお願いします」という目的です。

一方で、税務調査ではよく「対価性が
明確ではないため交際費」と指摘される
わけですが、そもそも交際費は上記の通り
対価性が明確ではない支出です。

酒食を共にして仕事が取れるか・単価が上がる
かは後になってみないとわかりません。

対価性が明確ではないから交際費になる
のではなく、論点は上記の【目的】のために
支出されたかどうかです。この点、
税務調査では拡大解釈されがちなので、
きちんと理解のうえ適正な反論が必要です。

さて、来週以降の本メルマガでは、
交際費課税の個別事例を取り上げていきますが、
来週は「接待後のタクシー代は交際費か?」
について解説します。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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