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2023.06.16

持戻し免除の意思表示の推定を用いた配偶者保護

※2022年6月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

税理士法人レディングの木下でございます。

今回のテーマは前回に引き続き
「持戻し免除の意思表示の推定を用いた配偶者保護」です。

―――
(特別受益者の相続分)
民法903条4項
婚姻期間が二十年以上の夫婦の
一方である被相続人が、他の一方に対し、

その居住の用に供する建物又はその敷地について

遺贈又は贈与をしたときは、

当該被相続人は、その遺贈又は贈与について
第一項の規定を適用しない旨の意思を表示したもの
と推定する。
―――

条文を確認すると
「贈与税の配偶者控除(相法21の6)」
に似ていることがわかります。

両者の要件の違いを検証します。

1.婚姻期間が二十年以上の夫婦の
一方である被相続人が、他の一方に対し

どちらの制度も婚姻期間20年を
要件としている点は同様です。

2.その居住の用に供する建物
又はその敷地について

こちらも同じと言いたいところですが
贈与税の配偶者控除では、
「居住用不動産を取得するための金銭」
も可能としている点で一部異なります。

3.遺贈又は贈与をしたときは

贈与税の配偶者控除は「贈与」のみですが、
持戻し免除の意思表示の推定は
「遺贈又は贈与」として「遺贈」
を含んでいます。
つまり・・・
遺言を用いて居住用不動産を
相続させても適用可能という
ことになります。

4.(条文にはありませんが)金額基準なし

贈与税の配偶者控除は「2,000万円以内」ですが
持戻し免除の意思表示の推定は
金額基準がありません。
つまり・・・
2,000万円に限らず「いくらでも」
持戻し免除の意思表示が推定される
ことになります。

上記検討を含めて以下検証します。

推定相続人:配偶者、長男(両者は不仲)
被相続人の財産:
居住用不動産4,000万円
その他の財産6,000万円

この場合に・・・
被相続人が長男から配偶者を保護したい
と考えると以下が良案かと思います。

対策(1):
全ての財産を配偶者に相続させる
特定財産承継遺言を作成する

居住用不動産4,000万円は
持戻し免除の意思表示が推定され
遺留分の対象から除外されます。
配偶者の税額軽減、小規模宅地等の特例が
適用され納税額はゼロとなります。
配偶者居住権の設定よりも
配偶者保護の効果は高いといえます。

対策(2):
その他の財産のうち現金1,000万円を使って
下記内容の一時払い終身保険に加入する。
契約者:父(=保険料負担者)
被保険者:父
保険金受取人:母

死亡保険金は受取人固有の財産となるため
遺留分の対象から除外されます。
場合によっては、非課税枠を超えて
保険加入することも一考です。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

著者情報

木下勇人

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