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2022.02.18

財産債務調書の提出と加算税の過重措置

※2021年2月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

昨今は、個人の税務調査において財産債務調書を
提出していない場合、加算税の過重も
厳しく見られるようになっているようです。

国税庁から昨年12月に、財産債務調書制度の
FAQが更新されていますので、まず
下記をご確認ください。

「財産債務調書制度に関するお知らせ」

※すでに内容を理解している方は、
「改正箇所抜粋」版の方がわかりやすいです

提出要件は理解されているかと思いますので
省略しますが、加算税の過重措置に関しては
勘違いされている方も多いので注意してください。

●提出期限までに財産債務調書の提出がない、
もしくは該当する財産債務の記載がない場合に
加算税が5%加重されます

●全ての増差所得・税額について過重措置が
適用されるわけではなく、あくまでも該当する
財産から生じる所得(利子・配当・譲渡・生保等)
に漏れがあった場合に過重措置の対象となります

●財産債務調書を提出していても、仮装隠ぺいが
あれば軽減措置の適用はありません

●提出期限後に財産債務調書を提出する場合、
更正の予知がない場合の自主的な提出であれば
期限内の提出を見なされます
(上記FAQのQ52を参照)

なお、この「提出期限後に財産債務調書を
提出する場合」の過重措置がある・無いですが、
国外財産調書について下記の公開裁決事例が
国税内でも重要視されているようです。

「内国税の適正な課税の確保を図るための
国外送金等に係る調書の提出等に関する法律
第6条第2項の規定は国税通則法第65条第5項の
規定の適用がある修正申告書にも適用される
とした事例」(平成29年9月1日裁決)

この事案では、自主修正申告した後になって
国外財産調書を提出したところ、
加算税が賦課されて争ったものです。

調書提出における「提出期限」と、
加算税の基準となる「申告期限」がどう違うのかを
争ったわけですが、納税者が負けています。

この公開裁決事例は、国税職員の
確定申告における研修資料等でもたびたび
載せられており、国税が調書提出と
加算税賦課に関して厳格に解釈するように
なっていることがわかります。

財産債務調書の提出義務者はいわゆる
高額納税者であり、税務調査に入られる確率も
高いでしょうから、調書の提出漏れだけは
しないように注意してください。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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