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2018.11.02

税務調査の分岐点が3月である2つの理由

※2018年3月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社InspireConsultingの久保憂希也です。

先日受けた税務調査の相談なのですが、
去年秋から継続されている調査事案でした。

法人の規模は売上が約10億円。
否認指摘を受けている項目は
全部で10個あり、繰欠を考慮しても
5年で本税が最大1.6億円となっています。
重加算税の対象となる項目も2つあります。

確定申告が明けてすぐ、調査官から
税理士に何度も連絡があり、

「修正申告してくれるのか、してくれないのか、
経営者と話して早急に決めて連絡して欲しい」

と督促されたようです。

なぜこの時期に、調査官が焦っているのか
というのと、2つの理由があります。

〇できれば3月中に調査を結了したい

税務調査は国税の事務年度である
7月~6月で動くのですが、国税内の「評価」は
4月~3月でされることになります。

3月までに結了した調査事案については、
現在の上司が評価しますので、評価に
直結するのですが、4月~6月に結了した
調査事案は7月以降の上司が評価することになり、
実質的に評価対象から外れることになります。
(7月以降の上司は、4~6月結了の
調査内容は机上でなければ知ることができない)

調査官も、調査事案が大きければ大きいほど
(多額の増差が見込める、または重加算税事案)、
3月中に終わらせようと躍起になります。

これは調査官自身の評価のため、ということです。

〇更正をするなら6月までに準備が必要

納税者が修正申告を提出しない、というのであれば
調査官は更正をする準備をしなければなりません。

ただ、更正というのはかなり面倒なもので、
証拠を固めるために必要であれば
反面調査に行かなければなりません。

さらには、それらの証拠収集が終わった後も、
税務署内では「重要審議会」(じゅうしん)が
開催されて、更正(否認)内容が適正か
どうかの検討・決裁が必要になります。

更正となれば、「重要審議会」も
少なくとも副署長・署長の2回は必須で、
かつ証拠不十分や課税要件によっては
「差し戻し」をされることまで考えられます。

税務調査の中で、どれだけやり取りをしても、
重要審議会のための資料作成などを考えれば、
調査官には2ヶ月程度の時間が必要になります。

だからこそ、

更正になる(とすれば)

6月中(事務年度内)に終わらせるために

3月中に修正申告か更正か明確にしないとダメ

という逆算を調査官がしていることになります。

調査官は国税の内部事情を言わないですが、
内部事情を知っていれば、税務調査において
3月が1つの分岐点になることがわかります。

冒頭の調査事案も、3月中に修正申告をする
ことを前提に、一部の否認項目を取り下げる、
もしくは重加算税の対象項目を減らしてもらう
ことで交渉すれば、有利に進む可能性もあります。

3月下旬という分岐点は
しっかり把握しておくべきでしょう。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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