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2022.09.30

無予告調査の理由を調査官に問うべき事情

※2021年10月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

毎週金曜の本メルマガでは、税務調査を体系的に理解する
内容を連載で解説していますが、前々回の論点に戻し、
「無予告調査」について取り上げます。

無予告調査には法令および通達で要件があること、
また無予告調査であっても臨場時には事前通知が
なされることについては、すでに解説しました。

一方で、論理的に矛盾しているように感じますが、
無予告調査に入られた際、調査官に対して
無予告調査の理由を問うても、明確な回答が
得られない場合が多いかもしれません。

国税庁サイトのFAQには下記とあります。

「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)」
問21 事前通知無しに実地の調査が行われた場合、
事前通知が行われなかった理由の説明はありますか。
また、事前通知をしないことに納得できない場合には
不服を申し立てられますか。
(答)
法令上、事前通知を行わないこととした理由を
説明することとはされていません。(略)
また、事前通知をしないこと自体は不服申立てを
行うことのできる処分には当たりませんから、
事前通知が行われなかったことについて
納得いただけない場合でも、不服申立てを
行うことはできません。

つまり、調査官の立場から考えると、
無予告調査の理由を聞かれても、それを明示・回答
しなければならない義務はないということです
(法令・通達などで規定がないため)。

ただ、私は本メルマガやセミナーなどでは
「無予告調査に入られたら、その理由を
調査官に聞いてください」と伝え続けています。

これは、あくまでも調査手続きが適正に
実施されているのかを確認するためであって、
調査官から明確な回答がなくても仕方ありません
(それ以上に追求する根拠がありませんので)。

以前、私に相談があった税務調査では、

「ビジネスホテルに無予告調査が入った際、
調査官に理由を確認したところ「現金商売」と
回答したので、調査通達5-7に違反している
と指摘したところ調査官は返答できなかった」

という事案がありました。

結局、この調査事案では調査手続きに瑕疵が
あることを双方が認識したまま、あえて
調査を受けたのですが、調査官も強くは
出られない事情を抱えていますので、調査が
納税者有利に進んだことは間違いありません。

これは、顧問税理士が無予告調査において
その理由・根拠をきちんと確認したからですね。
この点は税理士の調査立会い実務上、
ぜひ参考にしていただきたいポイントです。

また、無予告調査で理由を問うべき理由は
他にもあるのですが、その詳細については
下記の記事(過去メルマガ)を参照してください。

「無予告調査の理由は開示されてなくても・・・」

※上記記事では現在と通達番号が相違しています
ご注意ください(規定内容はまったく同じです)

ここまでは、無予告調査の要件などを
解説してきましたが、来週金曜の本メルマガでは、
無予告調査の実務的な対応方法を解説します。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

著者情報

久保憂希也

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