2016.11.08

重加算税が45%!?

※2016年1月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

 

株式会社InspireConsultingの久保憂希也です。

税務調査において、重加算税を安易に受け入れてはならない
ことは、繰り返し本メルマガでも強調してきました。

そして今後さらに、重加算税を受け入れてはならない
根拠となる税制改正が施行されることになります。

具体的な改正内容は下記となっています。

○過去5年以内に無申告加算税又は重加算税を賦課された者

○再び「無申告又は仮装・隠ぺい」に基づく
修正申告書の提出等を行った場合

○加算税を10%加重する

○平成29年(来年)1月1日施行

つまり、5年以内に重加算税を賦課された事績があれば、
今回の重加算税は、35%ではなく45%になるものです。
(無申告加算税も10%加重されます)

この改正の目的は、加算税率を加重することで、
「悪質な行為を防止する」ことのようです。

改正内容は、下記にわかりやすく図示されています。

「財務省資料 参考資料③(その他の改正事項)」
http://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/mail_magazine/20151216d.pdf
の20ページ

前回の調査で重加算税を賦課された場合、
次回調査が早まる・頻度が高まるのが通例なので、
直近の調査で重加算税を受けた顧問先は、
来年以降さらに注意が必要になります。

また、この改正の施行が来年とはいえ、
今年(以降)に行われる税務調査は何としてでも
重加算税を受け入れないようにしなければなりません。

現行を含め、過去にはこのような措置がなかったためもあり、
去年までの税務調査において、バーター(全体の税額は
安くなるが重加算税は賦課するなど)を、あえて受け入れた
調査事案もあったかもしれませんが、来年以降の
加算税の加重要件を考えると、今年以降は
バーターを受け入れることは、まず不要でしょう。

また、先週水曜のメルマガでも書いた通り、
来年(正確には、来年以降に申告期限を迎える申告年度分)
から、事前通知後の修正申告にも加算税が課されます。

今年中であれば、事前通知があってから調査初日までの間に
修正申告することで、当初申告時点で仮装・隠ぺいしていても
重加算税が課されない、という事後的対応が可能でしたが、
来年以降は順次できなくなります。

そこでさらに、重加算税の加重要件が乗ってきますから、
ますます注意が必要ということです。

もともと調査官の要請で重加算税を受け入れるなど、
調査対応としてはあり得ないはずなのですが、
調査を早く終わらせたいなど、顧問先が受け入れるから
それに従っていた調査事案も多数見受けられました。

今後は会計事務所として、上記改正内容を顧問先に
説明するとともに、「今の」重加算税を受け入れると、
「将来の」重加算税等で不利になる可能性まで
考慮する必要が新たに出てきました。

税務調査で新たに考慮すべき事項が発生したわけですが、
重加算税を受け入れない、というスタンスは何も
変わらないものと考えています。
今まで以上に重加算税に過敏になってください。

 

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一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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