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2016.05.23

審理が通っているは本当なのか?

※2014年12月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

 

先日、私への個別相談があった事案を紹介します。

この事案、何がヒドかったかといえば、
通達の解釈について、税務署内の審理担当者まで
通っている、という話でした。

【事案内容】

・法人で2ヵ所の事業所がある(まったく別の事業内容)

・事業所Aは7人が在籍、事業所Bは4人が在籍

・事業所Bの全員で社内旅行に行き、損金計上

・旅行参加者が会社全体の半数に満たないという理由から
 損金を否認、給与課税との否認指摘を受けた

【根拠】

所得税基本通達36-30(課税しない経済的利益・・・・・使用者が
負担するレクリエーションの費用)の運用について(法令解釈通達)
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kobetsu/shotoku/gensen/880525/01.htm

「(2) 当該旅行に参加する従業員等の数が全従業員等
(工場、支店等で行う場合には、当該工場、支店等の従業員等)
の50%以上であること。」

このカッコ書きの適用があるか、つまり通達の解釈論
になったわけですが、前述のとおり、調査官は
署内の審理まで通っていると言い、実質的に
反論が受け付けられない状況になっていました。

私が作成し、実際に税務署に提出した「抗弁書」については
年明けすぐの有料メルマガで全文を公開いたします。

※有料メルマガ
http://kachiel.jp/tax/mailmag_extra.html

この事案、税理士が書面を持って税務署に訪問。
調査官と統括官を前に読み上げ、説明したところ、
「その場で」否認指摘を取り下げられたのです。

あれほど「審理も通っている」と主張していたにも
かかわらず、審理にも確認せず、否認指摘を
取り下げるというのはどういう状況だったのでしょうか?

そもそも本当に「署内の審理まで通っていたのか?」、
また「通っていたとして、それがどこまでの権限を
持っているものなのか、反論が不可能なのか?」という点です。

あくまでも推測の域をでませんが、
上記の事案について私は下記のように考えています。

・調査官は審理に確認した

・審理担当者は判決・書籍等を調べたが
 この論点で明確な答えは載っていなかった

・審理担当者の「個人的解釈」が調査官の意見と一致した

・調査官はこの事実をもって「審理も通っている」と主張した

・しかし(更正できるほど)明示できる根拠はなかった

こう考えると、調査官が言っていることは
ウソではないにしても、審理が通ったことと、
課税根拠が明確であることはまったくの別物で
あったことは事実というわけです。

審理担当者が本当の意味で「通す」というのは、
国税局に照会をかけ、他の過去事案等も含めて検討し、
統一見解を出したときであって、署の審理担当者が
単独で出した個人的見解は「通った」とは言えません。

他の事案でもよく「審理ですでに検討したのでムリです」
と言い切る調査官がいますが、これはウソとは
言わないまでも、その効果・効力なんて
意味がない、といえます。

調査官の言葉にダマされてはいけません。

 

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一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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