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2015.06.17

質疑応答事例に反論する方法

今回は『質疑応答事例に反論する方法』です。

ある税理士さんからの質問です。

「税務調査で否認指摘を受けました。
否認根拠を調査官に聞いたところ、
国税庁のホームページにある「質疑応答事例」
に載っているからと言われました。この否認指摘に
反論するにはどうすればいいでしょうか?」

さて、国税庁の質疑応答事例は定期的にアップされており、
税理士としては知っておくべき情報も多いため、
参考にしている方も多いはずです。

最近では法人税の「貸倒損失」が新たにアップされ、
1つの指針として話題を集めました。

ホーム>税について調べる>質疑応答事例>法人税目次一覧
貸倒損失1~4
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/hojin/01.htm#a-16

話を戻すと、質疑応答事例を根拠に否認指摘を受けた場合、
「まず」反論すべきポイントは「租税法律主義」です。

この点は、本ブログ
 『通達課税に対する反論方法』でも書きました。

実際に相談を受けた過去の事案では、
抗弁書に次のように書きました。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

まず、税務調査における否認指摘の根拠が、
国税庁ホームページの記載内容であることに対する抗弁です。
国税庁ホームページの記載内容は、あくまでも国税庁独自の
見解によるものであり、納税者を拘束し得ません。
国税庁が納税者を拘束できる文書を出しえるのであれば、
それは租税法律主義から大きく逸脱するものです。
よって否認指摘における根拠は、租税法律主義の原則に則り、
法令をもって行うべきです。法令における解釈論であれば、
当方も解釈にかかる余地をまず議論したいと考えております。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

さらに、です。質疑応答事例には、
すべて一番下にはこのような記載があります。

「注記
平成24年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、
納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、
この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。」

ですから、通達の前文と同じように、
この注記からも反論することが可能です。
実際の事案ではこのように抗弁書を書きました。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

また質疑応答事例の注記には、下記のように記載されております。
(省略)
この注記にある通り、この質疑応答事例をもってして「単純に」
否認指摘をするという貴税務署調査官の見解については驚きを隠しえません。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

以上から、質疑応答事例を根拠に否認指摘を受けた場合、
質疑応答の内容の妥当性・適用性ではなく、

①租税法律主義の大原則に違反していることを主張
②質疑応答事例の注書きから適用を反論

することが大事なのです。

実際の税務調査では、質疑応答事例にそのまま当てはまる、
という事案はないので、質疑応答事例の内容が
適用できるかどうかで争ってしまうことが多いのですが、
それは反論方法としては最後なのです。

「順序」を間違えずに反論すれば効果てきめんである、
という良い例でしょう。

 

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

2012年12月の当時の記事であり、以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

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