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2021.11.12

税務調査で会計データは提出義務があるのか?

※2020年10月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

コロナ禍のなかで税務調査が再開されたことで、
調査官が原資資料のみならず、会計データ
などを提出要請するケースが増えています。

調査官がデータを要請する理由は、
対面・臨場時間を減らすことだとは
理解できますが、何に応じる義務があり、
また何を断ることができるのでしょうか?

全体を法的に整理・理解するため、
今週と来週の2回に分けて解説します。

まず、質問検査権を定める国税通則法
第74条の2等には、調査の対象物は
「帳簿書類その他の物件」とされています。

この「帳簿書類その他の物件」の範囲として、
調査通達には下記とあります。

1-5(質問検査等の対象となる
「帳簿書類その他の物件」の範囲)
法第74条の2から法第74条の6までの各条に
規定する「帳簿書類その他の物件」には、
国税に関する法令の規定により備付け、
記帳又は保存をしなければならないことと
されている帳簿書類(以下、略)。

ここにいう保存義務の帳簿書類とは、
下記国税庁のサイトにまとまっています。

「No.5930 帳簿書類等の保存期間及び保存方法」

ここにある通り「帳簿書類の保存方法は、
紙による保存が原則」ですから、
税務調査において提示・提出義務が
あるものは、あくまでも「紙」であって
データではないことがわかります
(電子帳簿保存法の適用などを除く)。

だからこそ、下記のFAQが成立します。

「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)」
問5 提示・提出を求められた帳簿書類等の
物件が電磁的記録である場合には、どのような
方法で提示・提出すればよいのでしょうか。
(答)
帳簿書類等の物件が電磁的記録である場合には、
提示については、その内容をディスプレイの
画面上で調査担当者が確認し得る状態にして
お示しいただくこととなります。一方、
提出については、通常は、電磁的記録を
調査担当者が確認し得る状態でプリントアウト
したものをお渡しいただくこととなります。
また、電磁的記録そのものを提出いただく
必要がある場合には、調査担当者が持参した
電磁的記録媒体への記録の保存(コピー)を
お願いする場合もありますので、
ご協力をお願いします。

ここで「電磁的記録=データ」は
「お願い」とされているのは、あくまでも
データは本来、税務調査の対象にならない
ことからこう記載されているわけです。

このように、税務調査において
調査官が会計データをお願いするのは
自由ですが、打ち出した元帳などを
提示・提出している限り、会計データを
渡す必要がないことがわかります。

ここまで解説すると、では応じる
義務がある「提示・提出」と、義務はない
「留置き」の違いが理解しにくいので、
来週はこの論点を整理して解説します。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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