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2015.05.21

前回の税務調査を把握してる?

最近受ける質問の中で多いのが、
「調査官って前回の調査をどこまで把握してるの?」というもの。

税理士からすれば、最近になって関与税理士が変わったばかりで、
前回の税務調査の内容がまったくわからない、ということもあるでしょう。
こうなると余計、調査官の情報が気になるものです。

まず知っていただきたいのは、税務調査を実施すると
調査官は「調査ファイル」を作成しま す。
税務調査の経緯と、その結了(ほぼ修正申告)までの
顛末を記録し決裁を受けるものです。
これは申告書などと同じく「7年間」の保存になっています。

ですから、前回の税務調査が7年を超える場合には、
そもそも調査ファイルが残っていないので、
調査官も前回の調査がどうなったのかまったく知りえません。

ただし、調査ファイルがなくても課税事績は
KSK(国税総合管理システム)で見ることができます。
つまり、修正申告書の数字を見ることはできるのですが、
調査内容などはKSKに残りません。

前回の税務調査が7年以内であったとしても、
異動(移転)して管轄税務署が変更になっている場合は、
異動前の税務署に調査ファイルがあるため、調査官は
移送してもらうか、閲覧に行かなければなりません。
これが面倒で、調査ファイルを見ないこともあります。

調査ファイルは書庫に保管されているのですが、
調査年分ごとに雑然と並んでいるだけなので、
探すのが結構面倒だったりします。

また私は個人的に、調査ファイルを見る意味をあまり
感じなかったため、パラパラとしかチェックせずに、
自分の税務調査に臨んでいました。

これは、調査ファイルに本当のことが書いてあるとは
思えなかったからです。税務調査は実際のところ、
まったく法律とは関係ないところで増差が決まったり、
こちらを否認するからこちらを取り下げるというような
バーター(交換取引)をしていたりするのが当たり前です。
これらの事実は、調査ファイルには書かれていません。

調査ファイルを見てわかるのは、
経営者の性格や、記帳状況くらいではないかと思います。
(もちろん、更正事案などは詳細に書かれています)

税務調査に臨む際に、「前回の税務調査で○〇だったから」
というような心配は、あまり持つ必要はありませんが、
もっとも気をつけるべきは、「重加算税」のケースです。

重加算税を過去に課されていると、調査官も
「次の税務調査でも重加算税が当然課せるものだ」
と思って調査に来ていることもあるからです。

調査の内容はともかく、今までに税務調査で重加算税に
なったことがあるかどうかだけは確認しておくべきです。

 

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

2012年9月の当時の記事であり、以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

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