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2021.03.12

外注費と給与の区分・判定基準(3)

※2019年7月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

前回は、外注費と給与を区分する形式基準について
解説しましたが、今回は契約形態によって
外注・給与を区分する基準について解説します。

保険外交員の中には、「固定給+歩合給」によって
報酬(給与)総額が決まる契約形態が存在します。

このようなケースでは、固定給部分を給与、
歩合給部分を報酬と区分することになります。
(歩合給設定している営業マンなどが全て
給与・報酬に区分できるという話ではありません)

個人的には、同じ人間に対して支払っている金銭が、
ある部分は給与で、ある部分が報酬と言われると
納得しがたい気持ちもありますが、外交員については
下記の通達を根拠として区分されることになります。

所得税基本通達204-22
外交員又は集金人がその地位に基づいて
保険会社等から支払を受ける報酬又は料金については、
次に掲げる場合に応じ、それぞれ次による。
(1)その報酬又は料金がその職務を遂行するために必要な
旅費とそれ以外の部分とに明らかに区分されている場合
法第9条第1項第4号《非課税所得》に掲げる金品に該当
する部分は非課税とし、それ以外の部分は給与等とする。
(2)(1)以外の場合で、その報酬又は料金が、固定給
(一定期間の募集成績等によって自動的にその額が
定まるもの及び一定期間の募集成績等によって自動的に
格付される資格に応じてその額が定めるものを除く。
以下この項において同じ。)とそれ以外の部分とに
明らかに区分されているとき。
固定給(固定給を基準として支給される臨時の給与を
含む。)は給与等とし、それ以外の部分は
法第204条第1項第4号に掲げる報酬又は料金とする。
(3)(1)及び(2)以外の場合
その報酬又は料金の支払の基因となる役務を
提供するために要する旅費等の費用の額の多寡その他の
事情を総合勘案し、給与等と認められるものについては
その総額を給与等とし、その他のものについてはその
総額を法第204条第1項第4号に掲げる報酬又は料金とする。

税務上の外注費/給与の区分・判定基準PDF

役務提供の対価として金銭を支給する場合、
大きくは3つの契約形態があります。

(1)雇用

これは言うまでもなく、給与に該当します。

(2)請負

目的物が明確にあり、それを完成・引渡しをする対価
として報酬を支払う契約形態は請負となります。

上記のように外交員の歩合給部分は、時間の経過で
報酬が決まるわけでもなく、営業先の交通費などは
すべて自己負担であって、保険契約という目的物を納品して
報酬が生じることから請負契約と捉えることができます。

会計事務所でいうと、申告書の作成・記帳代行業務は
請負契約に該当します。

請負契約の場合は、明確に外注費と判断できます。

(3)委任

委任契約とは民法上、法律行為をすることを委託し、
受任者がこれを受託する契約を指しますが、実務上は
従業員ではない他者に役務提供を依頼する行為
全般を指すことが多いです。

コンサルティングを依頼する場合で、その目的が
「経営指導」になっていれば、納品物がなく、
時間の経過で報酬が発生することになります。

会計事務所でいうと、税務調査の立会いや税務相談を
受ける行為は委任契約に該当します。

委任契約に分類されるからといって、外注・給与が
明確に判断できるわけではありません。

フリーランスの方に社内システム作成を依頼した場合、
社内システムという目的物を納品して報酬が
発生するのであれば請負契約になりますので外注費。

一方で、その社内システムを維持・メンテナンス・
改修するため、常時フリーランスの方が社内にいる
場合はどうなのでしょうか。目的物はありません。

このような場合、一般的に○○万円/月/人で
報酬設定することになりますが、外注か給与かを
判断するには、以前のメルマガに書いたとおり、
「指示命令は受けるのか?」「出勤時間はある?」
「パソコンは誰が用意しているのか?」などを
総合勘案して判断することになります。

外注か給与をあえて契約形態別に分けると、

〇雇用=給与
〇請負=外注費
〇委任=?

となります。

来週金曜のメルマガでは、職業別に
外注・給与を考えてみたいと思います。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

税務上の外注費/給与の区分・判定基準PDF

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