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2022.03.04

業務用・家事費の区分が曖昧な必要経費の考え方

※2021年2月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

今年はコロナ禍のなかで確定申告期限が延長されましたが、
本メルマガは例年通り、税理士・会計事務所の繁忙期となる
3月上旬~中旬の期間は配信いたしません。
年初から毎週金曜に配信してきた確定申告の注意点に関して、
今回が最終となります(次回は別テーマで配信します)。

さて、昨今はYouTuberを筆頭に、必要経費と家事費の
境目が全くわからない個人事業主が増えました。

この区分は当然ながら、その個人事業主の
職務内容やその必要性から個別に判断せざるを得ませんが、
いまだに必要経費の「50%ルール」を勘違いしている
税理士・会計事務所が多いのにも驚きます。

いわゆる(間違った)「50%ルール」の解釈は、
「業務関連割合が50%超であれば必要経費になる」
とする判断基準です。

この誤った解釈の基になっているのが下記通達です。

所得税基本通達45-2(業務の遂行上必要な部分)
令第96条第1号に規定する「主たる部分が不動産所得、
事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務の遂行上必要」
であるかどうかは、その支出する金額のうち当該業務の遂行上
必要な部分が50%を超えるかどうかにより判定するものとする。
ただし、当該必要な部分の金額が50%以下であっても、
その必要である部分を明らかに区分することができる場合には、
当該必要である部分に相当する金額を必要経費に算入して差し支えない。

この通達にある施行令は、下記です。

所得税法施行令第96条(家事関連費)
法第45条第1項第1号 (必要経費とされない家事関連費)に
規定する政令で定める経費は、次に掲げる経費以外の経費とする。
一 家事上の経費に関連する経費の主たる部分が不動産所得、
事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務の遂行上必要であり、
かつ、その必要である部分を明らかに区分することが
できる場合における当該部分に相当する経費

つまり、この施行令から正しく解釈するに、
「家事関連費のうち必要経費にできる」部分は、

●業務の遂行上必要であること
かつ
●必要経費と家事費との区分が明確に区分できるもの

であり、後者の部分において、

「業務の遂行上必要な部分が特定できない場合に限って、
いわゆる50%ルールの適用がある」

と上記通達で規定しているのです。

あくまでも「50%超だから必要経費にできる」ではなく、
【明確に区分できない場合に】判別する基準を50%にする
と規定しているものです。

原則的な考え方としては、「区分した業務割合だけを
必要経費に算入」ですので、その点は
誤った解釈をしないように留意してください。

また、併せて注意すべき点として、必要経費の
立証責任は納税者側にあると解されています。

過去記事:「必要経費の立証責任を整理する」

また、比較的新しい判決でも下記があります。

「必要経費該当性に争いがある支出は
納税者側に相応の立証責任」

税務調査での否認リスクまで考えれば、
納税者(顧問先)が税理士・会計事務所に合理的な
説明ができない必要経費は、結局否認される可能性が
高いわけですので、この点も含めて
顧問先に必要経費該当性の説明は必須でしょう
(必要経費に計上しない合理的な理由を説明する)。

この点はトラブルの元ですから、上記50%ルールの
誤認も含めて、ぜひ注意してください。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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