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2022.04.01

【通達】の本当の意味を理解する

※2021年4月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

毎週金曜の本メルマガでは、税務調査を体系的に理解する
内容を連載で解説していますが、今回は「通達」です。

税務実務に携わっていると、「通達」を知らないわけには
いかないのですが、「通達」なるものを理解しなければ、
税務調査で適切な対応をとることはできません。

まず、通達の正しい定義ですが、行政機関において作成・発出
される文書形態の1つで、判例では「上級行政機関が関係
下級行政機関および職員に対してその職務権限の行使を指揮し、
職務に関して命令するために発するもの」とされています。

税務(国税)に限定すると、通達は国税庁長官または国税局長が、
下部機関や職員に対して発する職務上の命令となります。

ですから税務職員は、この通達に沿って職務を
行わなければなりません。税務職員にとっての
「命令」であり「規則」全般を通達と呼ぶわけです。

この通達には2種類あり、【法令解釈通達】と
【事務運営指針】に分類されています。

実務上「通達」と呼んでいるものは「法令解釈通達」かと
思いますが、正確には違うということです。

●法令解釈通達:法令解釈を行うにあたって課税庁が
守るべき統一的な解釈

●事務運営指針:国税の内部事務を行うにあたって
国税全体が守るべき統一的なルール

法令解釈通達と同じように、事務運営指針も
国税庁のサイトで公開されています。

「事務運営指針」一覧

税務調査でよく問題となる重加算税について考えると、
重加算税を規定した国税通則法第68条には、
法令解釈通達が存在しません。一方で、
各税目の重加算税の事務運営指針は存在します。

これは、重加算税は国税による賦課決定処分であって、
法律の解釈を統一するのではなく、賦課決定の基準を
統一する必要性があることから、事務運営指針だけに
規定があるということです。

全国には524の税務署があって、こちらの税務署では
重加算税だけど、あちらの税務署では重加算税ではない
ということを防ぐためです。

ですから、税理士・会計事務所としては法令解釈通達を
知っているのは当然なのですが、併せて
事務運営指針も知っておかなければなりません。

「通達は国税職員を拘束するもので納税者を拘束しない」
(から学ぶ必要がない)と言う人もいます。確かに、
定義・解釈としては正しいのですが、実務では間違いです。

なぜなら、税務職員(調査官など)は通達を
守らなければならず、税務職員に税務調査を受ける以上、
(間接的には)納税者も通達に拘束されることになります。

また、調査官は法令解釈通達には詳しいですが、
現実には事務運営指針を知らない・理解していない
調査官も数多くいます。

だからこそ、税理士・会計事務所が事務運営指針を
知らなければ、間違った指摘であることに気付かず、
そのまま受け入れてしまうリスクもあるわけです。

これを機に、事務運営指針を学んでいただければ、
税務調査の立会いに強くなれるはずです。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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