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2022.11.11

電子帳簿保存法:重加算税の10%過重措置

※2021年11月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

先週に引続き、年明けから施行される
改正電子帳簿保存法について、税務調査に関わる部分を
取り上げますが、今回は「重加算税の過重措置」です。

新電子帳簿保存法では、重加算税の10%過重措置が
規定されているわけですが、まず条文を確認します
(なお、条文規定が長いので一部省略します)。

第8条第5項
第四条第三項前段に規定する財務省令で定めるところに
従って保存が行われている同項に規定する国税関係書類に
係る電磁的記録若しくは同項後段の規定により保存が
行われている当該電磁的記録又は前条の保存義務者により
行われた電子取引の取引情報に係る電磁的記録に
記録された事項に関し国税通則法(略)同法
第六十八条第一項から第三項まで(重加算税)の規定に
該当するときは、同条第一項から第三項までの
重加算税の額は、これらの規定にかかわらず、
これらの規定により計算した金額に、これらの規定に
規定する基礎となるべき税額に百分の十の割合を
乗じて計算した金額を加算した金額とする。

簡単に言えば「電磁的記録に仮装・隠ぺい行為があれば」
重加算税が45%になるという規定です。

新電子帳簿保存法の内容・詳細を学ぶ場合、
条文を読むより「一問一答」を読んだ方が早いのですが、
重加算税の過重措置についてはほぼ記載がありません
(「電子取引関係」問40は通達参照の旨のみ)。
そのため、併せて通達を確認します。

電子帳簿保存法取扱通達
8-21(重加算税の加重措置の対象範囲)
法第8条第5項に規定する「電磁的記録に記録された
事項に関し……同法(国税通則法)第 68 条第1項から
第3項まで(重加算税)の規定に該当するとき」とは、
保存義務者が電磁的記録を直接改ざん等する場合
のみならず、紙段階で不正のあった請求書等
(作成段階で不正のあった電子取引の取引情報に係る
電磁的記録を含む。)のほか、通謀等により相手方から
受領した架空の請求書等を電磁的記録により保存している
場合又は通謀等により相手方から受領した架空の
電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存している場合
等も含むことに留意する。なお、法第8条第5項の規定
による重加算税の加重措置と消費税法第59条の2第1項
の規定による重加算税の加重措置については
重複適用がないことに留意する。

ここから理解できるように、

●データを直接改ざんした場合

はもちろんですが、

●スキャン前の紙データで仮装行為がある場合

も重加算税が10%過重されることになります。

この点が1つ、実務において電子対応したくない
大きな要因となっているわけです。

例えば、顧問先の事業者が不正取引をしていた場合、
(電子取引ではなく)紙でやり取りをしていれば
重加算税は35%で終わるものが、スキャンして
電磁的記録として保存していた場合は45%に
加重されてしまうという不利益が発生します。

電子帳簿保存法に対応すればむしろ損をする
という項目の1つといえるでしょう。

なお、新電子帳簿保存法の通達には
逐条解説(的なもの)が存在しますので、
下記も併せて確認いただければ理解は深まります
(本メルマガでは長くなるので引用しません)。

「電子帳簿保存法取扱通達解説(趣旨説明)」

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

著者情報

久保憂希也

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