• HOME
  •  › ブログ
  •  › 国税による事業者等への協力要請・報告の求め
2022.05.20

国税による事業者等への協力要請・報告の求め

※2021年5月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

今回のメルマガは、税制改正・施行があってからいまだ
取り上げていなかった、国税の情報照会手続きを解説します。

平成31年度税制改正・令和2年1月1日施行において、
質問検査権を定める条文のうち国税通則法第74条の7の2
(特定事業者等への報告の求め)が追加されており、
併せて調査通達に第3章が追加されています。

追加された調査通達

これは、国税における情報照会手続きの拡大です。
今までは「任意の照会」であった内容・事項に関して、
国税が機動的に情報収集できるように法改正されました。

今回の改正内容を具体的にイメージしていただくとすると、

●法定調書の提出:法定の情報収集
=法定調書の範囲外は情報収集できない

●反面調査:取引先等に対する事実等の確認
=取引先等でなければ質問検査権は及ばない

これらの間に存在する情報収集行為といえるでしょう。

法改正の趣旨からすると、インターネット取引や
シェアリングビジネスなどの取引の相手方、または
取引の場を提供する事業者(特定事業者等)に対して
協力要請・報告の求めができるとするものです。

例えば、ビットコインなど暗号資産の取引に関して、
無申告者もしくは申告漏れの納税者を把握することは
非常に困難だという現実がありました
(そのため、法定調書の範囲が拡大されました)。

今までであれば、暗号資産関連の事業者に対して
税務調査をあえて実施し、その取引情報を得るという、
国税内では「開発部門」が情報収集を実施していた
わけですが、これも非常に効率が悪いということから、
このような法改正が行われたということでしょう。

大きくは2つの情報収集手続きが法定化されました。

「事業者等への協力要請」:事業者及び特別な
法律により設立された法人に、国税に関する調査に関し
参考となるべき帳簿書類その他の物件の閲覧又は
提供その他の協力を求めることができる

「事業者等への報告の求め」:高額・悪質な無申告者等を
特定するため特に必要な場合に限り、事業者等に対して、
より実効的な形により情報照会を行うことができる

なお、本改正(国税の情報照会手続きの拡大)について
詳細を解説するとキリがありませんので、法律・通達に
併せて下記の事務運営指針も参考にしてください。

「情報照会手続の実施に当たっての基本的な考え方等について」

私もまだ、上記法律を根拠とした協力要請・報告を
見たことはありませんが、今後は照会が増えると
推察できますので、これを機にぜひ理解してください。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

毎週水曜日に配信する『税務調査対策のメールマガジン』では、最新の税務調査事情はもちろんのこと、調査官の心理、税務署のウラ側など元国税調査官だからこそ語れるマニアックなテーマまでをお届けします。
「こんなことまで話して本当に大丈夫ですか?」 と多くの反響を頂く税理士業界では話題のメルマガです。
お名前とメールアドレスを登録するだけで 毎週【 無料 】でメルマガを配信いたします。