• HOME
  •  › ブログ
  •  › 貸倒損失:債権は時効で消滅したか?
2021.10.13

貸倒損失:債権は時効で消滅したか?

※2020年4月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

前回から「貸倒損失」について
解説していますが、今回から突っ込んだ内容です。

税務調査において貸倒損失が問題になりがちなのは、
貸倒損失を計上した内情が、

所得が(多額に)計上される(予定)
⇒ 所得・税額を減らす手立てを考える
⇒ 長年回収できていない売掛金を探す
⇒ その売掛金全額を貸倒損失に計上すると
 欠損が生じるので一部だけ貸倒損失にする

というのが調査官に「見え見え」なので、
調査では厳しく追及されることになります。

さて、現実の税務調査を見ていると、貸倒損失を
否認指摘する調査官の論理・根拠が
間違っていることが非常に多いです。

例えば、下記のような調査事案が典型例です。

・11年前の売掛金を直近期で貸倒損失として計上

・税務調査では督促の事実などを確認された

・調査官は「債権の消滅時効は5年なので、
6年前の貸倒損失となるもので、直近期の
貸倒損失にはならず、税務上は時効」と主張

この調査官は、

時効期間が経過した

債権は法的に消滅した

消滅したときに貸倒損失とすることができる

という論理であり、あたかも正しいかのように
思えますが、これは間違っています。

税務の時効は5年もしくは7年という消滅時効を
経過すれば、それだけで時効が成立します。

しかし、(税金などではない)一般の債権は
時効期間が経過しただけで、債権が自然に
消滅するわけではない、ということです。

債権の消滅時効が成立するためには、下記
3つの要件をすべて満たす必要があります。

A:時効期間が経過していること
B:時効の援用がされていること
C:時効の中断(更新)・停止(猶予)事由がない

なお、Cについては該当する事案は実務上
少なく、かつ民法の理解が難しくなるので、
本稿ではCを除いて解説します。

上記の調査事案例でいえば、調査官は
Aの「債権発生から5年が経過している」
と主張しているだけであり、Bの要件は
確認してないので、論理として通っていない・
間違っているということです。

一般的にはBの時効援用(の意思表示)が
行われているケースはほぼ無いかと思います。

なお、税務調査において貸倒損失を否認される際、
最もダメージが大きいのは「税務上の時効が経過し、
損金にすることができない」(永久差異=流出
として処理)という事案です。

逆に言えば、過年度の貸倒損失を否認されても、
要件・条件さえ揃えば・揃えれば、以後に
貸倒損失として計上できるということであれば
あくまでも期ズレ(一時差異=留保)ですから、
そこまでの痛手とはなりません。

次回は、消滅時効の要件
「時効の援用」について解説します。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

毎週水曜日に配信する『税務調査対策のメールマガジン』では、最新の税務調査事情はもちろんのこと、調査官の心理、税務署のウラ側など元国税調査官だからこそ語れるマニアックなテーマまでをお届けします。
「こんなことまで話して本当に大丈夫ですか?」 と多くの反響を頂く税理士業界では話題のメルマガです。
お名前とメールアドレスを登録するだけで 毎週【 無料 】でメルマガを配信いたします。