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2022.06.24

質問検査権の要件・範囲を理解する(調査の対象物)

※2021年7月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

毎週金曜の本メルマガでは、税務調査を体系的に理解する
内容を連載で解説していますが、前回から引続き
質問検査権を取り上げます。今回は「調査の対象物」です。

「調査の対象物」とは堅苦しい表現ですが、平たく言えば

「税務調査において、調査官に提示・提出しなければ
ならないものは何なのか?」

ということになります。

国税通則法第74条の2では、提示・提出の対象物として
【その者の事業に関する帳簿書類その他の物件】
と規定されています。

「帳簿書類」は当たり前ですが、「その他の物件」が
税務上の不確定概念と呼ばれるものになります。
併せて調査関連通達を確認しておきましょう。

国税通則法調査関連通達1-5

(質問検査等の対象となる「帳簿書類その他の物件」の範囲)
法第74条の2から法第74条の6までの各条に規定する
「帳簿書類その他の物件」には、国税に関する法令の規定
により備付け、記帳又は保存をしなければならないことと
されている帳簿書類のほか、各条に規定する国税に関する
調査又は法第74条の3に規定する徴収の目的を達成する
ために必要と認められる帳簿書類その他の物件も
含まれることに留意する。

この通達にある「調査の目的を達成するために必要と
認められる帳簿書類その他の物件」とは、
正しい所得・税額を計算するために必要なモノは
すべてという解釈になります。

国税の内規にも、下記があります。

「税務調査手続等に関するFAQ(職員用)【共通】
(平成24年11月 国税庁課税総括課)」
問1-26
「調査の対象となる帳簿書類その他の物件」における
「その他の物件」というのはどのようなものを指すのか。
(答)
「その他の物件」とは、例えば、金銭、有価証券、
棚卸商品、不動産(建物・土地)等の各種資産や、
帳簿書類の(作成の)基礎となる原始記録などの
当該調査又は徴収の目的を達成するために
必要な物件が該当します(手続通達1-5)。

よく質問されることとして、「在庫を見せなければ
なりませんか(調査対象物の範囲ですか)?」
というものがありますが、在庫(棚卸資産)も
所得計算に必要な範囲内ですから、調査対象物に
含まれることになります。

話は前後しますが、調査対象物の範囲として
【その者の事業に関する~】とされている以上、
事業に関しないモノは調査範囲外になります。

この論点に関しては、下記の記事(過去メルマガ)
を参照いただけると理解できると思います。

「個人の通帳は見せなければならないか?」

今回は質問検査権の対象物の範囲を解説しましたが、
来週の本メルマガでは、税務調査における行為
「提示」「提出」について解説します。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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