2015.11.12

更正の請求、更正の申出

こんにちは。日本中央税理士法人の見田村元宣です。

さて、今回は「更正の請求、更正の申出」です。

平成23年12月2日以後に法定申告期限が到来する国税について、

更正の請求ができる期間が法定申告期限から原則5年に延長されたことは

大半の方がご存じでしょう。

また、この延長に伴って「更正の申出」という手続きも発表されました。

ただし、これに伴う詳細な内容を整理し切れていない方が多いので、

裁決事例も含め、これを整理してみたいと思います。

まず、更正の請求についてですが、下記の取扱いも併せてご確認ください。

1、当初申告要件の廃止に伴い、一定の措置については更正の請求または

修正申告書の提出により事後的に適用を受けることが可能になった

http://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/encho/haishi_sochi.htm

2、控除等の金額が当初申告の申告書に記載された金額に限定される控除額

の制限につき、更正の請求または修正申告書の提出により、適正に計算された

正当額まで増額することが可能となった

http://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/encho/minaoshi.htm

ただし、これらは下記の運用となっており、それより前の年分等には

適用されません。

○所得税:平成23年12月2日の属する年分以後のもの

○法人税:平成23年12月2日以後に確定申告書等の提出期限が到来するもの

○相続税、贈与税:平成23年12月2日以後に申告書の提出期限が到来するもの

なお、これら以外にも平成24年2月2日以後に行う更正の請求からは

「事実を証明する書類」の添付義務が明確化されたこともあります。

さらに、偽りの記載をして更正の請求書を提出した者に対する罰則も創設

されました。

これらが更正の請求の概要ですが、これに伴って発表された「更正の申出」

に関しても、みていきましょう。

まず、この更正の申出は税目により年数が違うので、ここで確認します。

(更正の申出ができない期間については、従前通り、嘆願書による減額更正

を求めていくことになります。)

○所得税

・既に行った申告に関する税額が多かった、または、還付金が少なかった方

 法定申告期限から3年以内(確定申告する必要の無い方が、確定申告の

 必要があるとした場合の法定申告期限後に還付を受ける申告をする場合は、

 当該申告書を提出した日から3年以内)

・既に行った申告について、純損失等の金額が少なかった方

 法定申告期限から5年以内

○法人税

・法定申告期限(延長法人の場合はその承認申告期限)から5年以内
 
・繰越欠損金等の金額が少な過ぎた場合は、法定申告期限(延長法人の場合は

 承認申告期限)から7年(注)以内

(注)平成20年4月1日以後に終了した事業年度において生じた繰越欠損金

に関するものは9年

○相続税

法定申告期限から3年以内

○贈与税

法定申告期限から6年以内

○消費税

法定申告期限から3年以内

では、この更正の申出が認めらなかった場合、国税通則法75条第1項に

規定する「国税に関する処分についての不服申立て」は可能なのでしょうか?

これに関する裁決が平成25年1月17日にあり、下記と判断されています。

○更正の申出の手続は更正の請求とは異なり、法令上の根拠に基づくもの

ではない

○更正の申出に対するお知らせは直接納税者の権利義務を形成し又は

その範囲を確定するものではなく、単に納税者からの減額更正を求める申出

を契機として、税務署長が当該納税者の納税申告書に記載された課税標準等

又は税額等を更正する理由がない旨を知らせるものに過ぎない

○更正の申出に対するお知らせは、国税通則法第75条(国税に関する処分

についての不服申立て)第1項に規定する「国税に関する法律に基づく処分」

に該当せず、本件審査請求は不適法である

(出典:国税不服審判所ホームページ、一部改定)

更正の申出にせよ、嘆願書による減額更正の申請にせよ、「国税に関する

法律に基づく処分」ではないため、これに対する不服申立てはできないと

いうことです。

この一連の流れを勘違いされている方も多いかと思いますので、覚えておいて

頂ければと思います。

 

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※2013年12月の当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

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