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2022.11.04

電帳法対応していない=損金不算入/青色取消のウソ

※2021年11月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

年明け1月から全事業者が適用になる、改正された
「電子帳簿保存法」について、税理士・会計事務所業界が
顧問先を巻き込んで大変な混乱を生んでいるところです。

改正内容を勉強してみると、意外に細かく、
また質疑応答なども多いので、いまだに実務上の判断と
以後の対応に迷っている方も多いでしょう。

今回のメルマガでは電子帳簿保存法していない
=損金不算入になるのか/青色取消しのリスクがある
のかについて解説します。

私も電子帳簿保存法の改正に関しては、書籍のみならず
動画などでも勉強をしましたが、その中でも
まことしやかに「メール添付された請求書・領収書などを
電子保存していないと青色取消しになる」と説明している
ものも多く、さすがに煽り過ぎだと思ってきました。

まず、青色取消しになるリスクについては
こちらの資料に一部記載があるからです。

「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」
問42 電子取引の取引情報に係る電磁的記録について
保存要件を満たして保存できないため、全て書面等に
出力して保存していますが、これでは保存義務を
果たしていることにはならないため青色申告の承認が
取り消されてしまうのでしょうか。また、
その電磁的記録や書面等は税務調査において
どのように取り扱われるのでしょうか。
(答)
令和4年1月1日以後に行う電子取引の取引情報に係る
電磁的記録については、その電磁的記録を出力した書面等
による保存をもって、当該電磁的記録の保存に代えること
はできません。したがって、災害等による事情がなく、
その電磁的記録が保存要件に従って保存されていない
場合は、青色申告の承認の取消対象となり得ます。
(以下、略)

この一問一答の内容は、法律上の解釈として当然
間違ってはいません。ただ、実務上は
「請求書や領収書が明確に(紙で)存在」し、
損金性が確認できるにもかかわらず、税務調査で
青色取消しなど、実務感覚ではあり得ないでしょう。

これで青色取消しになるのであれば、
請求書や領収書が一部紛失していた調査事案でも
青色取消しになってきたはずです。

私がいくらこのように説明しても意味はないので、
つい先日国税が追加で発表した下記をご覧ください。

「お問合せの多いご質問(令和3年11月)」
補4 一問一答【電子取引関係】問42
【補足説明】
電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存義務に関する
今般の改正を契機として、電子データの一部を保存せずに
書面を保存していた場合には、その事実をもって
青色申告の承認が取り消され、税務調査においても
経費として認められないことになるのではないかとの
問合せがあります。これらの取扱いについては、
従来と同様に、例えば、その取引が正しく記帳されて
申告にも反映されており、保存すべき取引情報の内容が
書面を含む電子データ以外から確認できるような場合には、
それ以外の特段の事由が無いにも関わらず、直ちに
青色申告の承認が取り消されたり、金銭の支出が
なかったものと判断されたりするものではありません。

このように電子帳簿保存法の規定に沿っていない
という理由だけで、経費性が認められない、
もしくは青色取消しになるということはないのです。

特に、青色の取消しには所得税法・法人税法の
規定を満たす必要があり、かつこれら要件には
さらに事務運営指針にも規定があって、
国税も安易に青色取消しなどできるはずもありません。

電子帳簿保存法の改正に関しては、上記以外にも
税務調査もしくは加算税にかかる論点も多いので、
来週の本メルマガでも引続き、電子帳簿保存法の
論点を解説していきます。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

著者情報

久保憂希也

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