• HOME
  •  › ブログ
  •  › 税務調査への影響は?銀行への預貯金の照会がオンライン化
2022.10.07

税務調査への影響は?銀行への預貯金の照会がオンライン化

※2021年10月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

今年10月から、国税が銀行に対して預貯金等の
照会をかけるのがオンライン化されたことは
あまり知られていないようです。

これは、国税のDX化の一環として、
今年6月に大々的に公表されています。

「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション
- 税務行政の将来像2.0 -」

このオンライン化は、すでに昨年秋に
テスト運用されており、国税が各金融機関に
直接的に照会をかけているわけではなく、
NTTデータのピピットリンクを利用しています。

国税が金融機関の情報をほぼ見れるようになったのかと
思ってましたが、導入さえすればどの官公庁も
閲覧できる程度の情報しか開示されないようです。

さて、国税が銀行への預貯金の照会をオンライン化
できるようになったことに関して、私なりに
情報をリサーチしてみましたので、
今回のメルマガでそれらを公開しましょう。

まず、銀行に対して預貯金の照会をかけるのは
現時点ではあくまでも一部の情報に限られるようです。

・銀行によっては10年分のデータが得られる

・多くの銀行では直近3ヵ月分のデータしか取れない

実態としては、ネットバンキングのAPI連携が
主のようで、国税もこれなら反面調査が楽になる
という感覚はもっていないようですね。

オンライン照会する場合の国税内の事情ですが、
さすがにどの調査官も自由にできるという訳もなく、
統括官など一部の責任者に限定されているようです。

私の感覚では、税務署内で預貯金の照会状を
決裁~捺印~郵送するよりは、オンライン化で
事務対応はだいぶ減るのかと思っていましたが、
オンライン照会であっても実は国税内の手続きが
煩雑であることは変わらないようで、
そうなのであれば書面での照会を続けた方がいい
と考えている調査官がほとんどかもしれません。

以上を踏まえて、国税が銀行への預貯金の照会を
オンライン化できるようになったことに関する
税務調査の影響をまとめてみます
(あくまでも当面だけの見通しです)。

●銀行(反面)調査が急激に増えるということはない

●法人調査で代表者などの預金を事前に・勝手に
調べるということはない

●国税が保有する情報と金融機関の情報が
紐づけされるという施策ではない

●税務署レベルではまだまだ浸透しないが、
国税局などの大規模な調査になると、預金の動きが
紙ではなくデータで取得できることから、
突合などは簡単に行えるようになるはず

私は個人的に、国税がオンライン照会を
開始すれば調査にかかる情報を取り放題か、
くらいに思っていましたが、いろんな情報収集を
してみると、意外に普通な感じではありました。

ただ、今後はさらに国税もDX化していきますし、
それによって調査の深度・幅も広がることは
間違いのない見通しと言えるでしょう。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

著者情報

久保憂希也

毎週水曜日に配信する『税務調査対策のメールマガジン』では、最新の税務調査事情はもちろんのこと、調査官の心理、税務署のウラ側など元国税調査官だからこそ語れるマニアックなテーマまでをお届けします。
「こんなことまで話して本当に大丈夫ですか?」 と多くの反響を頂く税理士業界では話題のメルマガです。
お名前とメールアドレスを登録するだけで 毎週【 無料 】でメルマガを配信いたします。