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2018.03.05

不動産を購入した場合の按分基準(その4)

※2017年9月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

日本中央税理士法人の見田村元宣です。

今回は「不動産を購入した場合の按分基準(その4)」ですが、

この按分を失念した場合のリスクを解説していきたいと思います。

創業者社長の役員退職給与の税務上の限度額(その1)
創業者社長の役員退職給与の税務上の限度額(その2)
創業者社長の役員退職給与の税務上の限度額(その3)

前回まで、「不動産を購入した場合の按分基準」を解説しました。

これに関し、色々な方からご質問、ご相談を頂いたので、

追加で補足を致します。

結論だけを申し上げると、土地、建物、建物附属設備に

按分する「必要」がある、というのが「税務の正しい考え方」でした。

これに関して、先日の社員研修で私が解説したことを

お伝え致します。

これを失念した場合の1つの問題点として、減価償却費が挙げられます。

なぜならば、

〇 法人税は任意償却なので、過去の減価償却費を今後に計上できる

〇 所得税は強制償却なので、過去の減価償却費は過去に計上すべき

となるからです。

だから、所得税の場合、過年度で減価償却費の計上もれがある場合、

更正の請求の期限内であれば、更正の請求の対象になるものの、

これより前のものは必要経費になる機会を失う、ということなのです。

実際、国税庁の下記サイトには「減価償却資産の普通償却費は、

所得税法上強制償却となることから(所得税法第37条、第49条)」

と書いてあります。

https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/shotoku/04/14.htm

だから、

〇 正しく建物附属設備に按分しなかった

〇 過年度に減価償却費の過少計上が発生した

〇 更正の請求の期限を徒過した

という状況は絶対に避けなければならないのです。

さらに言えば、

〇 中古の建物と土地を購入した

〇 建物附属設備の耐用年数は既に経過し、建物附属設備を

  大規模リニューアルした訳でもない

という状況も注意しなければなりません。

なぜならば、土地、建物、建物附属設備に正しく按分すれば、

建物附属設備部分の減価償却費は計上できないにも関わらず、

土地と建物にしか按分しなかった結果、過去の減価償却費(強制償却)を

今後に計上することになってしまうからです。

実際の税務調査でどこまで指摘されるかは別問題ですが、

税理士としては「正しい知識」は身に付けておくべきでしょう。

その前提でお客様に適正な説明をして頂ければと思います。

–追伸–

先日の社員研修で社員全員に下記の問題を解いてもらいました。

次回のブログで回答を記載しますので、

是非、考えてみてください。

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平成27年に中古の不動産を1,000で購入しました。

平成27年度の土地の固定資産税評価額は600、

建物の固定資産税は400です。

再建築費評点数算出表をベースに計算したところ、

建物の評価額は400、建物附属設備の評価額は100でした。

なお、耐用年数から考えて、建物の減価償却は10パーセントが償却済み、

建物附属設備は30パーセントが償却済みです。

購入した不動産1,000を土地、建物、建物附属設備に按分すると、

どうなりますか?
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一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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